SSブログ

探しものは何ですか? [Black Music]

僕には探している曲、また探しているLP,CD等のアルバムがたくさんある。
 
探し物も「LPやCDで具体的に名前が解っているソフト」なら探し易い。
お店やネット上で「そのソフトが有るか無いか」だけのこと。
 
一番困るのは曲名やミュージシャンが”あやふや”な場合。
 
こういう曲のほとんどはFMの番組で聴いたりエアチェックした曲なのだ。

最近はFM番組もHPでアップされていている場合が多い。
その場合、”何の番組で何時何分にかかった曲”というのが解れば検索しやすい。
 
しかし昔、FMで偶然エアチェックした曲やミュージシャンを探すことは容易ではない。
そういう曲に限って一般的に知られていないマニアックな曲が多いのだ。
 

僕が学生時代「FM横浜」が開局した。
僕はFM横浜を受信出来る目黒区に住んでいたのでよく聴いていた。
 
開局当時のFM横浜のコンセプトは”英語オンリー”の番組。
番組全てを英語で進行するというのが”ウリ”だった。
また、横浜というイメージを先行させるためか、お洒落な選曲だった。
 
特に夜のプログラムは「ブラックコンテンポラリー」という黒人系の音楽が多かった。
番組の構成はDJの解説は無く、5、6曲連続で曲を流した後に曲紹介をおこなう。
今では民放FMでも珍しくないが、音楽主体の構成の番組の始まりだった。
 
この様な構成の番組はエアチェックにはもってこいなのだ。
 
邪魔なDJの解説は無いので、番組を全て録音すればいい。
最後に曲名とミュージシャン名を紹介してくれる”美味しい番組”だった。
 

しかし、この番組には大きな問題があったのだ!
 
ネイティブな英語で曲とミュージシャンを紹介するのである。

”英語オンリーのお洒落な番組”は悪くないが・・・

生粋の日本人の蟹道楽には聞き取り難かったのだ!
 

番組の中で気に入った曲があれば、以下の作業を行っていた。
 
まず、曲目をしっかり聞き取る(英語のヒヤリングなのだ)。
次に、カタカナで曲名、ミュージシャン名を分析する。
そして、カタカナ名をローマ字に変換する。
 
以上の分析結果をもって、タワーレコード等にレコードを探しに行っていた。
 
簡単に見つかるものもあれば、いまだに解らないものもある。
英語読みを日本語のカタカナに変換する段階で誤った分析をすれば終わりなのだ。
 
 
 
学生時代、FM横浜をエアチェックした中でも特に気に入ったテープがあった。
その時の番組の多くは知らないミュージシャンばかりだった。
しかし全て素晴らしいブラックミュージックで、このテープは繰り返し聴いていた。
 
このテープから、GWEN GUTHRIE、JENNY BURTON、STEPHANIE MILLS等
のミュージシャンに出会いレコードも探し出すことが出来た。
 

しかし、ネイティブな英語に阻まれて(分析出来ない)ミュージシャンがいた。


 
「ハイラン・バラック?」「ハイランド・バロック??」「ハイラング・・・」・・・?

曲名は・・・「★△●□▼☆・・Could Love You」と言っているようだが・・・

 

この曲名とミュージシャン名を知りたいのだが・・・
 
正確には何と言っているのだろうか?


 

生粋の日本人、蟹道楽にとって流暢な英語が大きな壁となった。

とにかく、この曲が脳裏から離れないのである。

レコード屋に行く度にソウル系のコーナーの「H」で始まるミュージシャンで
似たような名前のレコードやCDを探し続けていたが見つからなかった。
 

数年前、このテープをMDにコピーしておこうと思いついた。
十数年前の120分テープで老朽化もしてきたので保存する必要を感じたのだ。

 
久しぶりにカセットテープをセットして聴いていたその時!

「ムニュ!・・・」

という感じでテープの音が止まってしまった。

 
慌ててデッキを止めてカセットを出してみると・・・・・・
 

おおおっ!!!何とも悲劇的なことになっていた。


テープがデッキのローラーにグチャグチャに絡まってしまったのだ。

 
修復不可能になってしまった大切なテープ。
 
あの大好きだった曲が聴けなくなってしまった。
そして何より曲名とミュージシャンを探す手段である、ネイティブな英語の
ナレーションを聞く事が出来なくなってしまった。
 
縁が無かったのだろう・・・と、落胆してしまった。

 
その後、ネットが普及して「ハイラン・バラック?」「ハイランド・バロック?」を
検索したが検索に引っかかるものは出てこなかった。
 


以前の記事で書いた”ギルエバンス&ジャコパストリアス”のコンサートの記事。
 
あのコンサートのメンバー表を書いていた時に気が付いた事があった。
 
GIL EVANS(KB) GEORGE ADAMS(TS),CHIRIS HUNTER(AS,SS),
LEW SOLOFF(TP),MARVIN PETERSON(TP) MILES EVANS(TP),
GEORGE LEWIS(TP),PETER LEVIN(SYNTH),HIRAM BULLOCK(G)
MARK EGAN(B),ADAM NUSSBAUM(DS)


んんん・・・HIRAM BULLOCK・・「ハイラムブロック」・・・
 

まさかね~
 

ハイラムブロックはジャズ、フュージョンで有名なギタリストである。
ジャコパストリアスとトリオでセッションアルバムもだしている。
また、デビッドサンボーンの80年台のアルバムにはハイラムブロックが常にメンバー
として参加していた。


ジャコパストリアス、ギルエバンス、そしてデビッドサンボーン等々・・・
ハイラムブロックはジャズギタリストとしてのイメージしかなかった。


僕の中のイメージでの「ハイラン・バラック?」とはアーバン系ブラックミュージックの
ピーボブライソンやジェームス・イングラムのような歌手だった。

しかし気になるのである。
 
「ハイラン・バラック?」「 ハイランド・バロック?」→ 「ハイラム・ブロック」

んんん・・・・・似ている。


半信半疑でネットで検索をかけると「ハイラムブロック」は多くのアルバムがあった。

その中で80年代前半のアルバムを抽出して調べていくと・・・

「From All Sides」というアルバム にたどり着いた

      

その中に「Really Wish I Could Love You 」という曲があったのだ。

    「★△●□▼☆・・Could Love You?」 僕のヒアリング)


まさしく、この曲に違いない!


まさか、あの曲が昔からよく聴いていたセッションギタリストの曲だったとは!

ずっとブラコン系ミュージシャンと思い込んでいた僕。
あの曲がジャズギタリストのソロアルバムとは想像もしなかった。
今、この曲のギターを聴くと、まさにフュージョン系のギターソロである。
 
そもそも、黒人系のミュージシャンがソロアルバムを出す時は、ジャズだろうとファンク
だろうとブラコン系のバラードを録音していることは多々あることだ。

特にジョージベンソンはその代表である。
「この人はジャズギタリスト」という事を知らない人もいるのでは?と思ってしまう。


二十年かけて、やっと見つけたのだ!


ところが、好事魔多し!


「From All Sides」というこのアルバムは廃盤になっていた。

アマゾンのマーケットプレイスで中古盤を売っているが、定価より高値なのだ。
歴史的な貴重盤やLPのオリジナル盤なら納得もいく。

廃盤になるやいなや、高値をつける輩からは絶対に買いたくないのだ!
そもそも、モノにはそれぞれの適価というものがある。

とにかくアルバムタイトルと曲名まで解っただけでもありがたい。

まあ、焦る事はない!また中古屋めぐりが楽しくなったではないか!

 

そして昨年の年末、ついに中古屋で「From All Sides」を見つけた。

20年以上かかってやっと出会えたアルバム!
さすがに見つけた時は手が震えた感じがした。

ちなみに値段は¥1,120也、適価だと思う。


早速聴いてみたがやはり、20年以上前にテープに録音したあの曲だった。

 

ところで、アーバン系のブラックミュージックは「夜の都心」を感じさせる。

しかし、昔からこの「Really Wish I Could Love You 」という曲はお洒落なブラコン
だがクールなアーバン系の音とは違った温かみを感じていた。


このテープを録音した頃は訳あって上野~御徒町によく行っていた。
その頃、ウォークマンでよくこのテープを聴いていた事もあってか、この曲を聴くと
不思議に上野~御徒町の街を思い出す。

決して、お洒落な横浜でも六本木でもなく、上野のイメージなのだ。


この度、この曲がハイラムブロックの曲だという事が解ってから、アーバン系の
イメージをあまり感じない理由がわかった。

 

ハイラムブロックは大阪出身なのだ!

それも堺市浜寺の生まれらしい!

コテコテの南大阪出身者なのだ!

 

昔からこの曲にクールなアーバン系とは違った温かみが感じられたのが納得できた。


Hiram Bullock / Really Wish I Could Love You

 


nice!(13)  コメント(24)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 13

コメント 24

ベアトラック

蟹道楽さんの音楽に対する「ひたむきさ」に、ただただ脱帽するのみです。
ハイラム・ブロックというと、僕もセッション・ギタリストのイメージしかなかったんですが、新たな発見をさせてもらいました。ありがとうございます。
ちなみに、彼のギターのメンテナンスなどを手掛けていた楽器屋さんのリペア・スタッフは、日野さんという日本人だそうです。現在は、日本でハイエンド・ギターの製作者としても活躍されているようですよ。
by ベアトラック (2008-01-06 07:11) 

たいへー

120分テープを久しぶりにかける・・・
この勇気ある行動が、悲惨な状態に!!
その時の状況が、手に取るように分かりますぞ。(涙
FM横浜は、東京時代の後半に開局し、
長野に帰っても、有線をひいて聴いたものです。
あのお洒落な感じが良かったですね。
20年ぶりの再会。 さぞ嬉しかった事でしょう。
念ずれば思いが通じる・・・よく分かります!!
by たいへー (2008-01-06 07:12) 

2ndLT

蟹さんらしいですね。
好きな曲の曲名とミュージシャン探しが何十年も頭から離れない。
そんなところがしっかりとした音楽の記事になっているのでしょうね。
僕などは音楽は好きでも蟹さんの足元にも及びません。
まさにプロフェッショナルの域です。
by 2ndLT (2008-01-06 07:25) 

koto

これはもう手に入れただけで99%満足感ですか。
あら、うちの近くの方?
by koto (2008-01-06 09:09) 

かおり

他人事ながらも、ドキドキしながら読み進みました!
10代の終わり頃はFMのエアチェックでたくさんの音楽を知りました
当時のFMは新譜を丸ごと放送したりもしていましたからねー♪
そんなテープがうちにも数百本あることでしょう^^
ある時期からは永久保存のために"高級メタルテープ"にダビングしたり
MDに移し替えたりと、さまざまな処置をしましたが
今となっては放置です・・・・・・
映像関係はVTRからDVDに移行している最中です★

蟹道楽さんの音楽にかける情熱の半分くらいは分かるつもり♪♪
まるで探偵のような思考、行動ってとても楽しかったですもの!
ただ、このネットという道具は本当に便利だと思いますねー
この曲、好きです・・・・

オチには爆笑させて戴きました(笑)
by かおり (2008-01-06 10:48) 

蟹道楽

ベアトラックさん
そうなんですよ!
ハイラムブロックってジャズ、フュージョン系のセッションギタリストのイメージしかありませんでした。
まさか、このようなブラコン系の曲を作っているとは思いませんでした。
思い込みって捨てなければいけませんね。
さすが、ベアトラックさんギターに関してはお詳しいですね!
by 蟹道楽 (2008-01-06 18:32) 

蟹道楽

たいへーさん
やはりたいへーさんは120分テープを解って頂けましたね。
昔から「120分テープは避けるべし!」という鉄則がありました。
このような1時間番組の場合、しょうがなく使用した結果が鉄則どおりでした。
きちんと巻き戻しして再生しなかったのも要因の一つでしょう!
FM横浜の当時を知っている人がいたとは!
嬉しかったですね!
英語オンリーの番組もリスナーからの苦情で無くなったそうです。
by 蟹道楽 (2008-01-06 18:33) 

蟹道楽

2ndLTさん
このように探しているものが、まだまだたくさんあるのです。
>>足元にも及びません
いえいえ、秋吉のために大金をつぎ込んだ2ndLTさんの情熱も凄いものです。
何事も思いがある内は感動がありますよね!
プロフェッショナルの域・・・
これで食べていけたら楽しいでしょうね!
by 蟹道楽 (2008-01-06 18:33) 

蟹道楽

Krauseさん
ありがとうございました。
by 蟹道楽 (2008-01-06 18:33) 

蟹道楽

kotoさん
確かに手に入れたことの満足度は高いです。
でも、やはり音楽ですから聴けることの嬉しさのほうが何倍も嬉しいですね。
koto家は堺浜寺のお近くさんとは!
かなり昔、仕事であのあたりによく行きました!
もしかして、武家屋敷のような高級住宅街の一角がkoto家なのでは!
by 蟹道楽 (2008-01-06 18:34) 

蟹道楽

青い花さん
メタルテープとは!!!
これまた懐かし過ぎます!
あの高級テープは特別なミュージシャンしか使えませんでした。
が、僕のナカミチのカセットデッキとは相性が悪かったのです。
青い花さんの記事を拝見するたびに、音楽への愛情や情熱がよく伝わってきます。
「この人はジャンル関係なく音楽を愛しているんだな!」と感じますよ!

僕も確かにVHSの保存も考える必要がありますが、とりあえず音楽で手一杯です。
by 蟹道楽 (2008-01-06 18:34) 

鯉三

すごいですねー、読んでいて音楽との出会の素晴らしさを満喫できました。年末にそんな素敵な出来事があったのですね。
聴かせていただきました。確かにアーバンなブラックではありませんね。温かみのある音楽ですね。甘いメロディ・ラインはもうギリギリですが、うまくまとまっていますね。
by 鯉三 (2008-01-06 20:54) 

執念ですね~
でも辿り着いてよかったです♪
私は会社の人と一緒に車に乗っていたとき同じような経験をしました。
会話をしていても、気になった曲を忘れないよう必死でしたっけ。
by (2008-01-06 21:05) 

びっけ

学生時代に好きだった、題名もアーティストも完全には分からない曲と、長い年月を経て、めぐり会えるとは!
しかも、大阪出身のアーティストだったとは!!
なんてドラマチックなできごとでしょう!

蟹道楽さんの想いが、音楽の神様に伝わって、めぐり会えたのではないかしら・・・と思いました。

私も、そういう曲がいくつかあります。
世の中には、鼻歌で曲名を教えてくれる「鼻歌検索」なるものがあるそうですが、ちょっと恥ずかしくて利用できない私です。(^^;
by びっけ (2008-01-06 22:15) 

ab-ovo

今回は実にん、んっと納得させられる内容です。僕もアナログ音源っで貴重なモノ多数所有してますので、早々にデジタルに移行しようっと思ってます。
by ab-ovo (2008-01-07 13:28) 

蟹道楽

鯉三さん
ブログを書いていて気が付いたというのも、何とか縁があったようです。
このように探しているLPやCDがまだまだあります。
焦らず探す・・・これも中古屋めぐりの一つの楽しみだと思っています。
ギリギリですか(笑)
昔から甘~いブラックミュージックって大好きなんですよ。
by 蟹道楽 (2008-01-09 00:42) 

蟹道楽

しゃおたお さん
執念というほどではありません。
このようにして暇を見つけては中古レコード屋のハシゴしています。
まあ、趣味なんですね!
車で聴いた曲を忘れないようにする・・・
僕は度々その様な事があります。
by 蟹道楽 (2008-01-09 00:45) 

蟹道楽

びっけさん
ブログのおかげですね。
しかし、まさかコンサートで生で聴いたミュージシャンの曲だとは!
その位、僕の中でのイメージが違ったミュージシャンなのです。
テープが切れた瞬間は「縁が無かったのだろう」と思いましたが・・・
数年後、まさか判明するとは思いませんでした。
まあ、これも僕の趣味で楽しみなんです。
>>「鼻歌検索」とはそのようなものがあることは知りませんでした(驚)
by 蟹道楽 (2008-01-09 00:50) 

蟹道楽

ab-ovo さん
アナログ音源で貴重な録音は多いですよね。
特に昔録音したNHKFMのライブなんか絶対にCD等で保存しなければ!
思っているのですが・・なかなか時間がありません。
by 蟹道楽 (2008-01-09 00:52) 

蟹道楽

xml_xsl さん
ありがとうございました。
by 蟹道楽 (2008-01-09 00:53) 

starfish

いつも遅くてスミマセン。

ハイラム・ブロック。
マイルス・バンド(マイルス復帰後。フォーリーの少し前です)に参加していたので知っています。
たしか、父親がCIAだったかで大阪生まれなんだそうですよ。

しかし、廃盤探しは中古屋巡りの醍醐味ですね。
by starfish (2008-02-06 20:29) 

蟹道楽

starfishさん
ハイラムブロックの親父がCIAというのは初めて聞きました!!!
また、マイルスバンドにもいたのですね~
何分エレクトリックマイルスはあまり聴いてなかったものでして・・・
苦手意識があったのですが、「SELLER DOOR SESSIONS」でかなり衝撃を受けてしまいました。
もう一回エレクトリックマイルスに挑戦しようか!と考えております。
by 蟹道楽 (2008-02-08 01:08) 

azumma

저도 이노래 정말 좋아합니다.
by azumma (2009-02-18 00:17) 

蟹道楽

azumma さん
コメントありがとうございます。
ごめんなさい。
僕は外国語は読めません。
by 蟹道楽 (2009-02-21 00:51) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。