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Yesterdays [JAZZ]

コンサートや演劇等、いわゆるライブが好きな人は解って頂けるのではないだろうか。

オープニングの瞬間の緊張感や高揚感!

あの感覚がある限りコンサートはやめられない。


レコードを自由に買えなかった学生の頃、好きなミュージシャンの新譜を購入して
レコードに針を落とす時、コンサートほどではないが緊張感や高揚感があった。

以前にも書いた事があるが大人になり、ある程度自由にCDを買えるようになって
一枚のアルバムの『ありがたみ』が薄れてしまった事と同時に自分の感性が鈍って
きたのかもしれない。

思い入れの強いミュージシャンでも以前ほど、ニューアルバムを聴いて心ときめく
事も少なくなってきたようだ。


Keith Jarrett のニューアルバムを発売日に購入した。

Yesterdays  /  Keith Jarrett

Yesterdays

Yesterdays

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ECM
  • 発売日: 2009/01/27
  • メディア: CD


僕にとってKeith Jarrett は常にニューアルバムを待ち望むミュージシャンの一人
である。
ニューアルバムを聴く度に「素晴らしい!」と感じるのだが最近のアルバムは以前
ほど、気持ちの高揚感が感じられないように思っていた。

しかしこの度のニューアルバム『Yesterdays』は見事に”来た!”のである。

アルバム1曲目の『Strollin' 』。
CDの再生ボタンを押して23秒後!久しぶりに”あの高揚感”をあじわうことが
出来たのである。

『Strollin' 』はジャズピアニストの Horace Silver の名曲である。

Horace-Scope / Horace Silver
 
ホレス・スコープ
  • アーティスト: ホレス・シルヴァー,ブルー・ミッチェル,
  • ジュニア・クック,ジーン・テイラー,ロイ・ブルックス
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2008/06/25
  • メディア: CD

Horace Silver はもっともブルーノートらしいミュージシャンでファンキージャズ
の代表的なピアニストである。

Keithはこの対極的とも思われるミュージシャンのファンキーな原曲の魅力を全く
失わせる事なくKeithならではのフレーズで演奏しているのである。

1曲目良ければ全てよし!

コンサートでもアルバムでも1曲目の印象というのは本当に重要である。
1曲目で魅きつけられると、それ以降の期待度も増して聴く気合も変わってくる。

このアルバムは2001年4月の東京公演を収録したライブ盤である。
Keithが慢性疲労症候群という難病を克服して復帰後の公演である。
この頃からKeithの演奏は、80年代の演奏のように極限まで研ぎ澄まされた
演奏に比べて肩の力が抜け、リラックスした演奏のように感じるのだ。

この『Yesterdays』は久しぶりに一気にCD全曲を聴き通したアルバムだった。


ただし一つだけ、気になるところがあった。
アルバムの最後にボーナストラックとしてオーチャードホールのサウンドチェック
用の演奏『Stella By Starlight』が収録されているのである。

非常に貴重なトラックである。
しかしライブアルバムにこの様な異質なトラックを収録して欲しくないのだ。
ライブアルバムはやはりライブで終結してもらいたい。
アルバムとしてのトータル性を考慮して欲しいのである。

ECM(レコード会社)もその辺の事を考慮したのか、このボーナストラックの前
に約15秒の無録音状態をつくっている。

それなら価格アップしてもボーナスCDとして収録して欲しかったものだ。

とは言っても、このサウンドチェック用トラック『Stella By Starlight』は興味
深い演奏である。

Keithの『Stella By Starlight』といえば1985年の名盤『Standards Live』
のオープニングを飾る名演がある。

Standards Live

Standards Live

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Universal/Polygram
  • 発売日: 2008/08/26
  • メディア: CD

 

先に書いたようにKeithだから成し得た極限まで研ぎ澄まされた演奏である。

この度のサウンドチェック用のトラックは、これとは対照的な演奏で良し悪しは別
にしてKeithのリラックスした演奏が聴けるのである。

 

うれしいことにこの度はアナログも発売される。

Yesterdays [12 inch Analog]

Yesterdays [12 inch Analog]

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ECM
  • 発売日: 2009/02/09
  • メディア: LP Record

 

 

 

学生時代、新宿厚生年金会館で観た”Keith Jarrett Standards Live”


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コメント 26

ベアトラック

オープニングの瞬間の緊張感や高揚感!・・・そうでした。
コンサートもLPレコードも、すっかりご無沙汰してしまって・・・
でも、買ったばかりのCDの1曲目を聴く時の、独特の期待感とちょっとした緊張感は、近いモノがあるように感じます。私だけ?
by ベアトラック (2009-02-01 07:07) 

Qoo

オープニングの興奮
あの瞬間がたまらないんですよね~
やっと買ったレコードに針を落とす瞬間
確かに似てる気がします
もうその緊張感を味わうことが無くなりましたね
by Qoo (2009-02-01 07:17) 

たいへー

仕事上、思うようにライヴに行けない私は、
やはりアルバムに針を落とす瞬間がたまらない。
若い頃、諸々の理由で買えなかったものを、
復刻CDで買うと、必ずと言っていいほど
ボーナストラックが入っているが、迷惑なだけである。
昔はアルバクを「一つの作品」と捉えているアーティストが
ほとんどだった。 その事を、今の業界の方々は分かっていない。
「おまけ」をつけて、売り上げを伸ばそうとしている。
往年の音楽ファンは、そんなものを望んではいない。
当時の、そのままの「作品」を、欲しいのだ。
是非、止めて頂きたい!!

by たいへー (2009-02-01 07:41) 

kouan

初めて聴いてみました!
聴いてると何かわくわくしてくるんですね、Keithのピアノ!
ちなみに私は”All The Things You Are”って曲を聴きました。
”Yesterdays”もてにとってみたい・・・
今年になって聴く音楽新境地開拓だわ・・・
ありがとうございます!!
by kouan (2009-02-01 10:11) 

なちゃ

そういえば、若い頃は好きなミュージシャンのレコードの発売日を、指折りかぞえて待ってました。で、学校帰りに速攻で買いにいったなぁ・・・
PCで注文して自宅まで届けてくれる今も便利ですけど、少し味気ない気もします。

>ライブアルバムはやはりライブで終結してもらいたい。
おっしゃるとおりだと思います。
by なちゃ (2009-02-01 11:13) 

koto

そんなワクワク感はもう長いこと味わってないなぁ。


by koto (2009-02-02 01:09) 

鯉三

動画を見ました。この曲・I WISH I KNEWは大好きなスタンダード・ナンバーです。素晴らしい演奏ですね!ピアノのタッチが他のジャズ・ピアニストとまるで違っています。自分が聴いたことのあるピアニストの中では比べられる人がいません。

ジャズ・ファンの間ではとにかくこのボーナス・トラックが不評ですね。曲間をあけたことがせめてもの罪滅ぼしかと思ってしまうくらいの功罪です。アーティストにとってのアルバムというトータルな作品性を壊してはいけません。
by 鯉三 (2009-02-02 23:26) 

しゃおたお

幕が上がるほんの少し前が一番ドキドキしますね。
今回も浅草でドキドキしてきました(笑)
レコードに針を置く瞬間・・・を味わった記憶がないんですけど、
祖父が「チャンチキおけさ」?をレコードで聞くときにレコードに針を置いて私を膝に抱きかかえてワクワクしていた事を思い出しました。
by しゃおたお (2009-02-02 23:29) 

neko

ボーナストラックは、それ自体は嬉しいし聞きたいけど
アルバムは全体でひとつの作品だと思うので…
やっぱり『別冊ふろく』にして欲しいですよね〜

by neko (2009-02-02 23:35) 

蟹道楽

ベアトラック さん
コンサートもご無沙汰とは・・・
ベアトラック さんはお忙しいのでしょうがないのでしょうか。
たまには奥様と一緒にいかがでしょうか!
きっと楽しめますよ!
by 蟹道楽 (2009-02-04 20:04) 

蟹道楽

Qoo さん
思い入れの強いミュージシャンのコンサートだと、きっとあの緊張感や高揚感が蘇ってくるはずです!
音楽にハマった事のある人なら絶対でしょう!
by 蟹道楽 (2009-02-04 20:06) 

蟹道楽

たいへーさん
たいへーさんもお仕事の都合でコンサートはなかなか難しいようですね。
(わが友人のお坊さんは、コンサートの都合で法事の日にちを変えたとか・・・それはマズいのではと思いましたが)
やはりレコード好きの方の意見だと思います。
CDと違ってレコードの針を落とす瞬間は緊張感があります。
ボーナストラックについては、まさにたいへーさんと同意見です。
JAZZの昔のCDでは未発表ボーナストラックといって同じ曲のパート1からパート5まで連続で収録されていたものもあります。
オリジナルの曲順など全く無視したものでした。
あれには怒りを超えて情けなくなりました。


by 蟹道楽 (2009-02-04 20:15) 

蟹道楽

kouan さん
お聴き頂きましてありがとうございます。
All The Things You Areも名曲です。
Keith Jarrett はJAZZファンだけではなく、クラシックファンの方々からもよく聴かれているようです。
また機会があれば聴いてみてください!
by 蟹道楽 (2009-02-05 00:02) 

蟹道楽

xml_xslさん
ありがとうございます。
by 蟹道楽 (2009-02-05 00:03) 

蟹道楽

なちゃさん
学生時代は好きなミュージシャンの新譜が楽しみで、その発売にあわせて貯金?していたりしました。
学校帰りにレコードやに行くのが楽しみでした。
やはり、ライブアルバムはライブで統一したいし、スタジオ盤にライブのおまけもいりません!
by 蟹道楽 (2009-02-05 00:06) 

蟹道楽

nexus_6さん
ありがとうございます。

by 蟹道楽 (2009-02-05 00:06) 

蟹道楽

kotoさん
ワクワク感がないですか?
kotoさんの記事を拝見させて頂くとワクワクの毎日のようにかんじますが・・・・・
by 蟹道楽 (2009-02-05 00:08) 

蟹道楽

warkoさん
ありがとうございます。
by 蟹道楽 (2009-02-05 00:09) 

蟹道楽

鯉三さん
やはり、ピアノのタッチが独特に感じられましたか。
バリバリのJAZZファン(特にブルーノート系)からはあまり評判が良いように思われません。
現に僕の行きつけのJAZZ専門のレコード屋のオヤジも”・・・keithは良いとは思うがいま一歩馴染めない”と言います。
僕自体”正統なJAZZファン”ではなく、ROCK上がりWEATHER REPORT
を好きになってkeithに来て、JAZZの世界にハマったパターンなのであまり違和感を持たないのです。
そのためか、ヨーロッパ系のJAZZが大好きなのです。
by 蟹道楽 (2009-02-05 00:27) 

蟹道楽

しゃおたお さん
ライブの一番の楽しみですね!
僕も毎年、こんぴら歌舞伎では幕開けの緊張感が一番好きです。
今年は予定では午前の部と午後の部両方観劇できる予定です!(きちんと休みがとれればですが)
おじい様との良い思いでですね。
ちなみに、僕はレコードを聴きながら今のしゃおたお さんを膝に抱きかかえてワクワクしたいですね!!!
by 蟹道楽 (2009-02-05 00:32) 

蟹道楽

nekoさん
ありがとうございます。
やはり、ひとつの作品としてトータル性は一番重要だと思います!
>>『別冊ふろく』
さすが、nekoさんらしく可愛くていい表現ですね!

by 蟹道楽 (2009-02-05 00:35) 

かおり

カフェが併設しているホールなら1時間は早めに行って
お供と待ち合わせ、定刻までのんびりお茶をして開場をまつ♥
中学生や高校生のころだと座席指定なんかないライブばかりなので
もっと早くから出かけて並びましたね~(・_・)/
どっちもワクワク感は変わらないですけどね^^
席に着いて緞帳の向こうの音に耳を澄ませ、ちょっとした楽器の音が
聞こえるともうどきどきは止まりません★★
緞帳が動きはじめステージの下のほうから明かりが漏れだすと
周り中から期待感と興奮と爆発寸前のエネルギーが溢れています
「きゃー!!!」

音楽ライブ、もう何年も行ってませんけど・・・・・(T∩T)


by かおり (2009-02-07 10:59) 

しゃおたお

こんぴら歌舞伎1日通しですかぁ~
しっかりお休み貰ってくださいね♪

今の私でよければ膝に抱えてワクワク・・・してくださいませ~
レコード聴いていられるかは蟹道楽さん次第ですね♪
by しゃおたお (2009-02-08 22:52) 

蟹道楽

かおり さん
優雅でいいですね~
僕の場合、コンサートというと時間との戦いです。
大体、コンサートの開演は19時。
それまでに仕事を片付けるとなれば・・・・・
実にハードです。
でも、開演に遅れたことはありませんね!
ライブ!行きましょうね!
元気が貰えますよ!

あっ、姫はいつも元気ですね!
by 蟹道楽 (2009-02-09 00:34) 

蟹道楽

しゃおたお さん
こんぴらは泊まりで観る予定です。
1日目は午後の部、2日目が午前の部。
休みがとれたらですが・・・・・・怪しい・・・

しゃおたお さん膝に抱えて・・・・・
(*´Д`)/lァ/lァ
レコード?今はそんなん、どうでもエエねん!
by 蟹道楽 (2009-02-09 00:41) 

蟹道楽

ab-ovoさん
ありがとうございます。
by 蟹道楽 (2009-02-21 00:53) 

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