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今年も行ってきました [歌舞伎]

少々前の事になるが、今年もこんぴら歌舞伎観劇のために琴平を訪れた。

こんぴら歌舞伎.JPG

こんぴら歌舞伎1.JPG

昨年は市川海老蔵、そして今年は中村勘三郎と人気役者が続くこんぴら歌舞伎。

今年はラッキーにも「第一部」「第二部」共にチケットを入手できた。

僕は観たことがないのだが、最近中村勘三郎は「コクーン歌舞伎」(古典歌舞伎の演目
を近代的な表現方法で演じる)が話題になっている。(具体的には麻さんの記事を!

この度の「闇梅百物語」(傘オバケやノッペラボウ等の妖怪が登場する)という演目は
踊っているガイコツに蛍光色の様なブルーのライトを照らすという、コクーン歌舞伎を
連想させる、今までこんぴら歌舞伎では観た事がない様な演出もあった。

しかし、何を言っても今回の一番の見所は『俊寛』であった。

ストーリーは鬼界ヶ島に島流しになっていた俊寛、成経、康頼の3人に赦免船が到着
したのだが成経の嫁(千鳥)は乗船が許されない。
最終的に俊寛は自分の代わりに千鳥を船に乗せて一人が鬼界ヶ島に残るという話。

クライマックスでは仲間を乗せた赦免船を一人見送る俊寛の空しさや孤独感を勘三郎
が悲痛な表情で演じる。
そして最後に勘三郎は悟りの境地に達したような静かな表情で幕が閉じるのである。

正直、歌舞伎を観て目頭が熱くなったのは初めてである。


また、最後にサービス精神の旺盛な中村勘三郎は、歌舞伎では珍しくカーテンコール
をやったのである。

もちろん会場はスタンディングオベーションで盛り上がったのだった。

今年は「第一部」と「第二部」共に観る事が出来た為、今まで以上にこんぴら歌舞伎を
堪能することができた。

 

※中村勘三郎の奥様らしき人を発見!(会場の外にある中村家受付にて)

奥様.JPG

 

 

さて、この度の琴平の旅にはもう一つの目的があった。
それは金比羅宮の奥社に参拝することなのだ。

金比羅宮といえば、本殿までの785段の長い階段が有名である。
一般的には参拝はこの本殿で終了する人が多い。

しかし金比羅山にはこの本殿より583段先に奥社があるのである。

こんぴらMAP.gif

今年は奥社へ参拝するという目的があったのだ。

当日、琴平に着いたのが12時30分。

その日のこんぴら歌舞伎の開場は15時。

奥社への参拝時間は2時間がリミットである。

あらかじめ、ネットで奥社までの所要時間を調べたらまちまちなのである。

当たり前のことだが個人の体力の差によって全く所要時間は異なり、行きが50分という
人もいれば、のんびり2時間かかったという人もいる。

ちなみに特殊な例では年に一度、こんぴら石段マラソン(奥社までの往復)というイベント
があり優勝者のタイムは30分を切るらしい。

 

とりあえず、宿泊先の旅館に到着。

宿1.JPG


中庭が広い。

宿2.JPG

別荘タイプの部屋もあるがやはり料金が高い。

宿3.JPG


旅館の裏門から山道を通って金丸座まで行けるのだ。

裏玄関.JPG


この山道が実に気持ちいい。 

やまみち.JPG 

 

一応、宿泊先の旅館のフロントのおばはんに奥社までの所要時間を聞いてみた。

蟹道楽 : 「参拝はどの位の時間がかかります?」

おばはん: 「そうですね、本宮参拝は約1時間半ですね。」

蟹道楽 : 「奥社まで行きたいのですが?」

おばはん: 「えっ、奥社までいくのですか?たいへんですよ!」
       「まあ・・・(僕をシゲシゲ見ながら)、2時間半くらいですね~」

何だか、カチンと来てしまった。
       
おばはんは丁寧に応対していたが、口元が笑っていたのを僕は見逃さなかったのだ。
いかにも「あんたやったら、2時間半以上かかるデ~!」と言われた様に感じたのだ。

確かに僕は40代半ばでメタボに関してはイエローカードである。

しかし、ここ数年は少なからずとも定期的にスポーツジムに通っている。

「絶対に1時間30分以内で奥社参拝を実行!」

という固い決心で出発したのだった。

 

参道口から大門までの階段はお土産物や飲食店が立ち並びぶ金毘羅門前町を見ながら
階段登るせいか、急な階段も苦にならない。

参道口.JPG

しかし、この日は暑い日だった。

365段目の大門に着く頃には上着を脱ぎ、シャツも腕まくりをしていた。

それでも額から汗がひたたり落ちてくる。

この辺りから徐々にダウンする人の姿も目に付くようになってきた。

 


疲れて座り込む人の図。

疲れた.JPG

ここにも精根尽き果てて『真っ白な灰になった人』が・・・

じょ~.jpg

いやいや、これは参道にあるアンティークショップ売り物!
しかし何で金毘羅門前町にこんなお店があるのだろうか?
それにしても、このジョーが¥58,000とは!!!


また暴挙としか言えないが、ヒールの高いサンダル履きで参拝するおねえちゃん
がいたのだが、悲鳴上げながら涙目になっていた。(ナメとるとしかいえない)。

 

無事、本殿に到着!

本宮.JPG

お決まりの「幸せの黄色いお守り」を購入する。(本殿まで登らないと購入できない)

お守.JPG

 

そして、ここからが奥社への入口である。

奥社へ.JPG


奥社への道にはいると雰囲気が一転した。
本殿までの人で賑わった階段とは違ってほとんど人影はない。

奥社1.JPG


気温は下がり、まるでハイキングに来たかのような山道になるのである。
そのため、先ほどまでの暑さを感じることなく結構快適に登ることが出来るのだ。
しかし、僕は時間が気になり早足で階段を上がって来た為さすがに足にダルさを感じ
始めていた。

奥社2.JPG

奥社までの道には、ほとんど人がいない。

奥社3.JPG 

たまに奥社から降りてくる人とすれ違えば「お疲れさま!」とか「もう少しですよ!」
と声を掛けてくれ、これが実に気持ちいいのである。
「奥社に行く」という共通の目的を共有しているせいか、奥社から降りてくる人達とは
フレンドリーな気持ちになり笑顔で挨拶ができるのだ。


そして、やっと奥社に到着。

奥社4.JPG

合計1368段、標高421m。
やはり達成感に浸ってしまった。

奥社6.JPG

奥社周辺はひんやりとしていて、空気がピーンと張っていた。

改装中の奥社は小さかったが、やはり神々しさを感じる。

奥社5.JPG

 

奥社左の壁面にある2つの天狗の面。
左が鳥天狗、右が天狗だそうだ。

天狗.JPG

階段を登り始めて奥社までの所要時間は35分。

 

帰りは景色を楽しみながらのんびりと下りたのだが、本殿まで戻ると旅行会社の旗を
持ったガイドの大声、そして多くの観光客でごった返してた光景が妙に俗っぽく感じて
しまった。

のんびり帰った為、帰りの所要時間も35分。

結局、奥社参拝の所要時間は1時間10分だった。

僕もまだまだ若いやんか!!! (と、自分に言いきかせる!)

 

翌日の朝、フロントに昨日のおばはんがいた。

おばはん: 「おはようございます。参拝はいかがでしたか?」

蟹道楽 : 「奥社はやっぱり良かったです!」

おばはん: 「へぇ~、結局行かれたのですね。大変だったでしょう?」

蟹道楽 : 「結構快適でしたよ!往復1時間10分でした!」

おばはん: 「えぇっ?1時間10分???」


フロントのおばはんの驚いた表情を見て僕は再度達成感に浸ったのであった。

 

 

左が本宮で買った『幸福の黄色いお守り』、右が奥社で買った『お守り』

お守り.JPG 

 

 

参考までにこの度、食べたうどん屋。

長田IN香の香

長田 香の香.jpg

長田in香の香.jpg


釜揚げうどんで有名なお店である。
しなやかなでコシの強いうどんはさすが釜揚げ最強店である。
しかし、それ以上に感じたのがダシつゆ!
このつゆだけでも十分にご飯が食べれるだろう。

 


岸井

岸井うどん.jpg 

会社の同僚に薦められていったのだが最近、人気が出てきているお店とか。
何とビニールハウスのお店である。
そして店内は実に怪しい雰囲気なのだ。

店内メニュー.JPG

まさにビニールハウスの店内、小学生の落書きのようなメニュー。

同僚が強く推薦した、かけうどんを注文。

きしいうどん.jpg


何と!これは美味い。
ほとんど醤油の色は着いていないつゆだが、十分にダシが利いてしっかりとした味なの
である。
あまりの美味さにつゆも全部飲み干してしまったのだ。

ただし衛生面に神経質な人では・・・・・
いや、讃岐うどんのディープな一面を感じるお店だった。


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ラプソディー [ROCK]

十数年前、当時住んでいた会社の寮の隣にM課長が引越して来た。
M課長は生まれも育ちも東京の方。
単身赴任で大阪に転勤して来たのだった。
その時、M課長は40代後半だった。
風貌は遊び人風、”べらんめい口調”で喋り服装はお洒落だった。
また、車はアルファロメオで関西人とは違った、いかにも東京人という感じだった。
単身赴任で暇だったのだろう、僕たちを誘ってよく飲みに連れて行ってくれた。

それから2,3年後、阪神大震災に襲われた。
幸いにも僕たちの被害は比較的に少なかったが仕事が大変になったのだ。
あの頃、確か2,3ヶ月は休み無く働いたように記憶している。

特にM課長は忙しく、神戸で倒壊を免れたビルの強度を調べるため1日中神戸の街
を歩き続けたのだった。

その仕事も一段落した頃からM課長は体調を崩してしまった。
最初は仕事の疲れで単なる過労のように思っていたが、日に日に状態が悪くなって
いった。

本人は嫌がったが病院で精密検査をしたのだが、結果は癌だった。
単身赴任のまま大阪で入院するより、東京に帰ったほうがいいという結果になり
東京に帰ることになった。

引越しの日、僕たちも引越しを手伝った。
作業はM課長の奥様と僕たちでほとんど荷物をまとめた。
M課長は具合が悪かったのだろう、静かに椅子に座っていた。

荷物の梱包も終わり、M課長と奥様に挨拶をして部屋を出て行ったのだが、奥様
が外まで送ってくれて「必ず良くなって帰ってきます。その時はまた、よろしく
お願いしますね。絶対に戻ってきますから・・・」そう言って涙ぐんでいた。

 しばらくして、手術をした後のM課長と電話で話しをした。

いつもどおりの”べらんめい口調”で元気に話すM課長。
僕は「元気じゃないですか!良かったですね!」と言うと、M課長は明るく笑い
ながら言った。

「癌っていうのは一度は奇跡の生還をするんだよ。これからが勝負だ!」

その何ヶ月か後、M課長の容態が悪化して再入院しているということを聞いた。
そして僕たちは東京までお見舞いにいった。
僕たちは病室に入ってベッドで寝ているM課長を見て驚いた。
あの元気だった面影はなくなり、やせ細った体は以前の三分の二位に小さくなった
ように見えた。

しかし僕らを見たM課長は「おう!よく来てくれたな!うれしいよ!」と大きな
声で呼びかけてくれるのだ。
しかし無理しながら喋っていたのだろう、その後はあまり会話も続かなかった。

それから4ヵ月後、M課長は亡くなった。

 


忌野清志郎が癌で亡くなった。

以前も書いたことがあるが、RCサクセションや山下達郎は高校時代、洋楽しか
興味を持たなかった僕に、日本のポピュラーミュージックの素晴らしさを教えて
くれたミュージシャンである。

特に80年代のRCサクセションのアルバム『シングル・マン』、『RHAPSODY』、
『PLEASE』、『BLUE』そして当時はカセットテープのみ発売だった『Yeahhhhhh
...at武道館』等については最近でもよく聴くアルバムである。

中でも『RHAPSODY』の完成度の高さは、日本のROCKアルバムで最も優れた
アルバムだと思っている。

清志郎は、療養のため活動を休止していたのだが、昨年2月には日本武道館で
「忌野清志郎 完全復活祭」というコンサートで復帰した。

僕は”清志郎も復活して良かった!”と喜んでいたのだが、約半年後に癌の再発と
いう発表があった。

その時、僕は当時のM課長の言葉を思い出してしまった。

「癌っていうのは一度は奇跡の生還をするんだよ。これからが勝負だ!」


残念ながら、悪い予感通りになってしまった。


近年の忌野清志郎としてのアルバムはあまり聴いていなかったが、やはり僕として
は忌野清志郎の”あのボーカルが聴けない”という事は残念で仕方が無い。


高校時代に観たRCサクセションのコンサートで過激な発言をしながらも、恥ずかし
そうにテレ笑いをする清志郎の純粋な表情が今でも印象に残っている。

 

 


ラプソディー / RCサクセション


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イーノは”いいのぉ~” [ROCK]

U2のニューアルバム

No Line on the Horizon

No Line on the Horizon

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Vertigo
  • 発売日: 2009/03/03
  • メディア: CD

 

 

僕は最近、このアルバムをよく聴いている。

僕が高校生の時、U2はデビューした。
デビュー当時、僕のU2のイメージは『パンク系の兄ちゃん達』だった。

当時、僕はエッジのギターの音が魅力的でU2を聴いていたが、特別に思い入
れのあるバンドではなかった。

僕がU2にハマったきっかけはブライアンイーノのプロデュースした4枚目の
アルバム『The Unforgettable Fire』。

Unforgettable Fire

Unforgettable Fire

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Island
  • メディア: CD

この『The Unforgettable Fire』の発売前、アルバムのプロデューサーが
ブライアンイーノという記事を見て我が目を疑った。

ブライアンイーノは初期のROXY MUSICの立役者。
ROXY MUSICを脱退してからは主にアンビエントミュージック(環境音楽)界
に進み、今では重要なミュージシャンとなっている。

昔、ブライアンイーノのインタビューで印象的な記事を読んだ事がある。


記 者 : イーノさんはROCK系の音楽とは遠ざかっていますが?

イーノ : 現在のROCKとは・・・
      (イーノは手で机を『バン!バン!バン!』と3、4回叩いて・・・)
      このような音楽である。
      私はこのような単調な音楽には興味が全くない!

そういう内容のインタビューだったと記憶している。

そのイーノがU2という、パンクまがいのバンドのプロデュースをする事の
イメージが全く出来なかったのだ。

しかし、結果として『The Unforgettable Fire』でイーノはU2の持ち味を
最大限に生かしたスケールの大きな音の空間を作ったのである。

イーノのプロデュースにより、この頃からU2のサウンドは緻密な音になり
飛躍的にスケールが大きくなったように感じたのである。



U2 - The Unforgettable Fire
イーノはやっぱり凄い!と感じたこの曲。
僕はU2の中ではこの曲が一番好きだ!
※(ちなみにエッジがイチローに見えてしまうのは僕だけか・・・)

続いて5枚目のアルバム『The Joshua Tree』は『With Or Without You』
のヒットもあって世界中で大ベストセラーになった。

このアルバムもイーノのプロデュースらしく音の空間を最大限に生かした実に
美しいアルバムだった。

僕にとってU2の魅力は”心地よさ”なのだ。

U2のサウンドはハードだが、僕にとっては”α波が出る心地よいサウンド”に
感じるのである。
これはやはりアンビエントミュージックを知り尽くしているイーノならではの
技ではなかろうか。

4年ほど前にリリースした『How to Dismantle an Atomic Bomb』
はデビュー以来のプロデューサーであるスティーヴ・リリーホワイトによる
ストレートなロックアルバムだった。

How to Dismantle an Atomic Bomb

How to Dismantle an Atomic Bomb

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Interscope
  • 発売日: 2004/11/23
  • メディア: CD

特に1曲目の”Vertigo ”はデビュー当時のU2を彷彿させるハードな演奏で
パンクロックの様である。


U2 - Vertigo
やはりパンクのDNAが息づいていたと感じた曲

この『Vertigo』を聴いた瞬間は『おおぉぉぉ~!』これは凄い!と感じたのだが、
アルバム全体としては何だか物足りなさを感じてしまった。

この度のニューアルバム『No Line on the Horizon 』は久しぶりにイーノが
参加している。

この間も『Achtung Baby』や『All That You Can't Leave Behind』といった
アルバムでもイーノがプロデュースに参加しているのだが、今回のアルバム
のほうが『The Unforgettable Fire』や『The Joshua Tree』の頃のU2の
サウンドに近いような気がする。

このニューアルバムには”α波が出るような心地よさ”があるのだ。

特にイーノのプロデュースによってエッジのギターが一段と美しく感じるの
である。


僕の中ではデビュー当時のU2は『怒れる兄ちゃん達のパンク系バンド』の
イメージだった。
しかし、いまや世界に名だたるスーパーバンドであり、またインテリバンド
になったのである。

この転換期になったのが、4枚目のアルバム『The Unforgettable Fire』で
あり、このアルバムのプロデューサーであるブライアンイーノの存在だった
ように感じるのである。

 


U2 - Magnificent (Live - Night 2 - Letterman)
今回のアルバムで最もイーノのプロデュースを感じた曲

 

 

ちなみにブライアンイーノの作品。
僕は昔から凹んだ時やストレスの溜まった時、就寝前のこの曲を聴くと
気分が落ち着いて眠れるのである。

The Plateaux of Mirror /Harold Budd & Brian Eno

ザ・プラトウ・オブ・ミラー(紙ジャケット仕様)

ザ・プラトウ・オブ・ミラー(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: ブライアン・イーノ,ハロルド・バッド
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2004/12/22
  • メディア: CD


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出会いと別れ [audio]

以前、フォノイコライザー(オーディオショー)の記事を書いた。
※(フォノイコライザー:レコードから針が読み取った電気を増幅するもの)

ハイエンドオーディオショーで聴いたフォノイコライザー『C-27』。
アナログ独特の暖かさを持ちながらも、まるでCDのようなシャープな音!


これまで自分のシステムは、アナログらしい『ぽっちゃりとした柔らかな音』
だと満足していた。
(音のイメージ①)

 yuuka.jpg

 

ところが、あのオーディオショーからは『ぽっちゃりとした柔らかな音』が
『ぜい肉が付いた締まりの無い音』の様に感じるようになってしまった。
(音のイメージ②)

 matuzakakeiko.JPG

僕のシステムとオーディオショーで聴いたシステムを同じ土俵での比較する
などおこがましいのは重々承知なのだ。
圧倒的な価格差があるし、ましてや相手はプロのセッティングである。

しかし、現在の僕のシステムの音の方向性は正しいのだろうか?

今までアナログの良さは『柔らかさ や 中域音の厚み』だと感じていた。

しかし、あのハイエンドオーディオショーで聴いた『シャープな音』が忘れられ
なくなったのである。

現在使っているオルトフォンのカートリッジには揺るぎない信頼を持っている。

 オルトフォンMC★30.JPG

すると『締まりの無い音』の原因は、やはりと言うかフォノイコライザーという
結論にしてしまったのだ。

現在のフォノイコライザーは某メーカーの真空管式のものである。

僕がフォノイコライザーを真空管式に決めた理由は、真空管特有の”柔らかさ”
や”中域音の厚み”でアナログらしさを際立たせるためだった。

しかし『この選択が間違っていたのでは?』と考えるようになったのである。

かといって、おいそれと『C-27』(¥525,000)を購入することなんて出来ない。

また、僕は簡単に今のパートナー(現在、使用の真空管フォノイコライザー)を
捨てる事が出来ないのである。(情の厚い男 蟹道楽!)

ズルズルと決定的な別れ話が出来ないまま、悶々と過ごした3ケ月。

ある日、オーディオ雑誌でCECのPH-53という機種に興味を持ってしまった。


CECは日本では数少ないオーディオ専門メーカー。
地味だが堅実なオーディオを発売しているので昔から気になっていたメーカー
なのだ。

この機種で特に引かれたのがバランス接続が出来るということ。


バランス接続用ケーブル(XLR端子)

 バランス ケーブル.jpg

一方、一般的なアンバランス接続用ピンケーブル(RCA端子)

 ピンケーブル.jpg

オーディオマニアではバランス接続は余分に回路が増えてマイナス面が多いので
嫌う人も結構いる。

しかし、僕はバランス接続を信仰している。
『CD⇒プリアンプ⇒パワーアンプ』とバランス接続で統一しているのだ。

魅かれ始めて約三週間。

①CECの製品
②価格がリーズナブル
③そしてバランス接続が出来る!!!

この3点により僕の気持ちは決まったのである。

さよなら、真空管式フォノイコライザー。

君と過ごした日々は忘れない。

PH-53と仲良くなれなかったら戻ってくるから!(情の厚い男、蟹道楽!)

ということで、新しいパートナー(PH-53)を迎えたのだった。

 CEC PH53.JPG

早速、接続!

接続はアナログプレーヤーとフォノイコライザーがアンバランス(RCA)接続。
そしてフォノイコライザーとプリアンプがバランス(XLR)接続になった。

そして出てきた音は・・・・・

なんじゃ、これは!
(音のイメージ③)

 Grace-Jones.jpg

これはひどい!
ガリガリの骨と皮だけで全く色香のない音!


しかし、新しいオーディオは設置した瞬間に100% の実力をだすとはいえない!

新車と同じように『ならし運転』が必要で、とりあえず一週間は様子見の期間と
なるのである。

彼女(PH-53)も見知らぬ地に来て緊張しているのだろう。

しかし、ここまで色気のない音が良い方向へ変化するのだろうか?

この新しいパートナーは僕の好みではないのではなかろうか・・・

と一抹の不安を感じたのだった。


一週間もすると『ならし』やセッティングの改善等の成果もあったのか、嫁に来た
PH-53の緊張が解けてきて、僕に近寄ってきたのである。
音にだんだん肉付が良くなってきたような気がしてきたのだ。
また、以前の真空管フォノイコライザーに比べて繊細な音がするのだ。

二週間目にはPH-53は確実に質の高い音に感じてきた。
(音のイメージ④)

 syakuyumiko.jpg

かと言って”100%満足か!”というと世の中そうともいかない。
PH-53は以前の真空管に比べてバスドラムやベースのボリューム感が少ない様に
も感じるのである。

ある日、ネットで興味深い記事を見つけた。

PH-53はあくまでバランス接続を前提にしている。
特にレコードプレーヤーとPH-53の接続をバランスケーブルにすることで、全く
別の次元の音に変わる!というのだ。

今、僕のPH-53とプリアンプの接続はバランス接続だが、レコードプレーヤーと
PH-53の接続はピンケーブル(アンバランス)で接続している。

調べてみるとCECはPH-53用にレコードプレーヤーとのバランス接続用の特殊な
ケーブル(入力側がRCA端子で出力側がXLR端子)を販売しているのだ。

しかしこれが高価なのだ。(定価28,350円)

『別の次元の音に変わる』という事もネット上での記事である。
正直、マユツバな気がして100%信じるには至らない。

ただし『別の次元の音』というのは聞き捨てならない!
ぜひとも試してみる価値があるのだ!

しかし、RCA端子とXLR端子のケーブルなど普通に売ってはいない。
約3万円のCEC製の純正品を買うか、特注で作ってもらうしかないのだ。

しかし、自作なら日本橋のパーツ屋で三千円ほどで材料は揃うはず!
ということでケーブルを自分で製作したのだった。

 ケーブル.JPG

そして、自作ケーブルで試聴!!!

・・・・・・・・・・・・

音が出ない・・・・・

フォノイコライザー本体にバランス接続の特別な設定があるのだろうか?

僕は大雑把な性格のため、説明書というのは全くと言っていいほど読まない。
今回は珍しく説明書を読むと、説明書にはケーブルの配線図面が丁寧に明記
されていた。

 配線図.jpg

僕はアースも接続したが、配線図によるとRCA端子側にはアースは接続しては
いけないようだ。

ということで作り直し。

素人が作ったものでやり直しをした為、雑なハンダ処理になってしまった。

  ハンダ.JPG

これがまた音質面でのマイナスになるのだが、とにかく音を出したい!


そして再度接続!

  バランス接続.JPG

そして試聴!!!


やった~! 成功や! 音が出た!

と普通なら喜ぶのだろうが、そう感じる暇もなかったのだ。


なんじゃ、これは!!!

これ、レコードの音か!!!!!

今まで聴いていたレコードの音と全く感触の違う音だった。
暖かみは少ないが、シャープで肉付きのよい音が出てきたのである。

(音のイメージ⑤)

 yonekura ryouko.jpg

これはいい!
余分なゼイ肉は無く締まった音だが、メリハリのしっかりしたグラマラスな音!
しかも色気もある!

メーカー側がバランス接続を強く推奨しているのが納得できたのだ。


最近発売されたLPで松尾明のMelancholy Seranadeを聴いた。

A面2曲目イントロでのベースソロも以前に比べて、ズッシりと低い位置から
ガッツのある音に変わったのである。

Melancholy Seranade [12 inch Analog]

Melancholy Seranade [12 inch Analog]

  • アーティスト: 高橋康廣,松尾明,寺村容子,嶌田憲二
  • 出版社/メーカー: ディウレコード
  • 発売日: 2009/01/23
  • メディア: CD

 

そうなると、以前の僕のシステムはどのような音だったかを検証してみたくなる。

僕は以前使っていた某真空管式フォノイコライザーに戻してみた。

結果は・・・・・
(音のイメージ⑥)

 天童よしみ.jpg

僕と真空管式フォノイコライザーとの関係は完全に終わってしまった。

十分に愛着があった真空管式フォノイコライザーだったのだが、価値観が変わる
と全く興味がなくなったのだ。

オーディオも恋も似たようなものである。

『アバタもエクボ』、まさしくその通りなのだ。

さめてみれば、『何故、あんなに熱中したのだろうか?』と自問自答してしまう。

実はこの度のPH-53も一過性の恋のようなものかもしれない。

しかし、僕にとって新たに進むべき方向性が見えてきたのだ。

アナログは努力をすればするほど応えてくれるシステムである。
時間をかけてセッティングから詰めていき、徐々に雑なつくりの自作ケーブルも
見直していくつもりだ。

今の音も、満足度は高いのだがあくまで通過点にすぎない。

もっと『グラマラスでありながら締まった筋肉質の音質』を目指すのである。
(目指す音のイメージ⑦)

 asaomiwa.jpg

 

 

追伸 : やはり同じCDとレコードを聴き比べたくなる。
しかし、昔のジャズのCDは何度もリマスタリングされているのでCDとLPの
音が別物になっていることが多い。

10年ほど前、同時に発売されたCDとレコードの比較をすることにした。


山下達郎 / COZY
(左にあるCDは発売当時、クリスマス限定ジャケットとして発売された
 ジャケ違いのCOZY。今や結構レアアイテムかも?)

  COZY.JPG


このイコライザーに換えて『CDに近い音』になったと思っていたが、やはり
レコードはCDとは全く別の音なのだ。
改めてレコードの魅力を感じたのだった。


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神業の領域 [ROCK]

 beck.jpg

 

 

                     催物.jpg

薄暗いステージに JEFF BECK が現れた。

高まる気持ち!

なんといっても約4年ぶりのコンサートである。

そしてスポットライトが JEFF BECK を照らした瞬間!!!

 ”笑ってしまった”

昔からJEFF のファッションセンスは???だったのだが・・・

ブーツ姿の JEFF BECK は首からスカーフを巻き、ズボンの後ろポケットの
あたりにはタオルのようなものが見え隠れしている。

お洒落な若い衆だと良く似合っているのかもしれない。

しかし、JEFF がこのような格好をすると・・・・・

『スカーフは手ぬぐい』で『ブーツは地下足袋』にしか見えない。

つまり『土建屋のおっさん』か『明るい農村』といった風貌なのだ。

しかし、オープニングの『Beck's Bolero』が始まると『土建屋や明るい農村』
のイメージは吹っ飛んでしまった。

64歳の JEFF は若々しくポジティブで刺激的な”ロックの音”を聴かせてくれる。

JEFF 特有のアームとスライドを多用した音はギターの領域を超えた音で今更ながら
あのハーモニクスの美しさは神業の領域と感じるのだ。


今回のコンサートのもう一つの見所はベーシストの”TAL WILKENFELD”

一見、女子高生に見えるほどオボコい顔をした若干22歳の女の子。

  タルちゃん.jpg

今や彼女は『中年ロックおやじ達』の間では”タルちゃん”とよばれアイドルに
なっているのだ。

ベース歴4、5年で22歳の彼女は、その外見とは裏腹に Chick Corea やこの度の
JEFF BECK のツアーに抜擢された天才少女なのだ。

ジャコの影響されたという彼女のベースの音色はジャコに通じるものを感じるが
ジャコのように”アク”の強い演奏ではなく、きっちりとリズムを刻む演奏だ。

その”タルちゃん”は演奏の合い間にステージにべったり座りこむのである。
その姿は正に駅やコンビニの前で地べたに座っている日本の若者達のようだ。
この世代の若い衆は世界的に地べたに座り込む習性があるのだろうか?

ステージでのタルちゃんは JEFF 以下、全メンバー達から我が娘のように可愛がら
れている様子がほのぼのとした印象的だった。

もうひとつのリズムセクションのドラムの VINNIE COLAIUTA は4年前のコンサート
のメンバーだったが、前回同様にシャープで圧倒的なパワーの演奏である。

やはりリズムセクションでコンサートの良し悪しが決まるのである。

ただ、残念に感じたのがキーボードの David Sancious。
元気がないというか、地味というか、音楽性が合ってないというか・・・
はっきり言って、他のメンバーの演奏についていけてない印象が否めなかった。
同じキーボードでも4年前の来日コンサートの Jason Rebello のような演奏を
望むのは無理だったのかもしれない。

また、音響についても低音をブーストし過ぎて本来のベース音がはっきり聴き取り
難いと感じたのである。

とはいえ、今まで観た JEFF BECK のコンサートで今回が最も JEFF の調子(ノリ)
が良かったように感じる。

とにかく、一曲に占めるアドリブの比率が非常に高いものだった。
特に『LED BOOTS』と『Blue Wind』は今までコンサートで聴いた中で最もハードで
エネルギッシュな演奏だった。

若い世代がメンバーに入る事によって、演奏も若返ったのかもしれない。

1時間35分のコンサートは短く、夢見るように終わってしまった。


コンサートは以前、記事で紹介したストーンズマニアのエロ坊主と観にいった。

ギターマニアの坊主はJEFF の演奏が終わるごとに、ひとり言をいっていたのだ。

『んん~ん・・・ワシにはあんな音が出されへん!』   (当たり前である!)

『ああ~ぁ・・・何であんなギター弾けるんやろか?』  (あんたに弾ける訳ない!)

と感動しているみたいだった。


コンサート後、坊主はCDを購入していた。

JEFF の演奏に酔っていた坊主!

僕はてっきり、JEFF のCDを買ったのだと思っていたが・・・・・


坊主の買ったCDは『タルちゃん』のCDだった。

Transformation

Transformation

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: MGM
  • 発売日: 2008/05/19
  • メディア: CD

 

この日のセットリスト

01. Beck's Bolero
02. The Pump
03. Eternity's Breath
04. You Never Know
05. Cause We've Ended as Lovers
06. Behind The Veil
07. Blast From The East
08. People Get Ready
09. Stratus
10. Angel
11. Led Boots
12. Nadia
13. Space Boogie
14. Goodbye Pork Pie Hat / Brush with the Blues
15. Blue Wind
16. A Day In The Life
 =encore=
17. Where Were You
18. Big Block
19. Scottish One
20. The Peter Gunn

 

コンサートでは最も盛り上がる”Big Block"(今回も盛り上がった!)
キーボード以外は先日のコンサートと同じメンバーでの演奏。
もちろん、ベースはタルちゃん!


Jeff Beck / Big Block


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Highwayのお供に [ROCK]

4,5年位前のことである。

その日、僕は急いでいた。

中国自動車道を岡山から大阪に向けて元気に走行中の時だった。

この先の宝塚は渋滞エリアである。
渋滞に備えて空いている道で時間を稼ぎたかったのだ。

ふと、ルームミラーに一台の迫り来る黒色のスカラインが映った。
しかも、天井には『赤くクルクル光る』サイレンが・・・・・

あちゃゃゃ~

図られた!!!

いわゆる”覆面トカーだったのだ。

昔の覆面といえばクラウンやセドリック等の高級車なのだが、何故かホイールは
黒の鉄チンホイールが装着されていて、いかにも”怪しいオーラ”を放っていたの
だが、この頃から状況が変わってきた。

嗚呼、何と言う事だ!

この道路は走り慣れていて覆面の宝庫という事を十分に認識しているのに気を
抜いてしまったのだ。


カーはスピードダウンした僕の車を追抜き、僕をその先のパーキングエリア
に誘導したのである。


『頭を下げよう!』

『低姿勢を貫こう!』

『土下座でもしまっせ!』

『何とかなるなら100回でも頭を下げようではないか!』

そして・・・・・

『売られていく子牛のように、悲しげな瞳で対応するのだ!』 
 (自称 : ドナドナ戦法)


・・・という気持ちで交渉?にのぞんだのだった。


こちらは”完全降伏”という事をはっきり伝えなければならない。

僕は高速隊の二人に対して”米つきバッタ”のように頭を下げたのだ。


以下、パカーの後部座席での会話。


蟹道楽(以下『善』と表記する) : すんません!すんません! <(_ _)><(_ _)>


高速隊(以下『悪』と表記する) : そんなに謝らないでください。

 

『善』: すんません!すんません! <(_ _)><(_ _)>

『悪』: もう、ええから・・・

『善』: すんません!すんません! <(_ _)><(_ _)>

『悪』: これを見てください、あなたこの速度で走ってましたよ!
     (ダッシュボードの速度計が12キロを表示していた)

『善』: すんません! <(_ _)> 急いでいたもんで・・・すんません! <(_ _)>

『悪』: あのねぇ~ みんな急いでいるから高速走っているんですよ。

『善』: 今日は特に急いでいたので、すんません!すんません! <(_ _)><(_ _)>

『悪』: んんん・・・・・(そして2人がボソボソと小声で喋っていた)

『善』: すんません!すんません!すんません! <(_ _)><(_ _)><(_ _)>

『悪』: まぁ・・・あなたは・・・
     今日は110キロで走っていましたね・・・
     110キロでエエですわ・・・・・(以下、『良』と表記する)

『善』: えっ! ほ、本当ですか!!! ヽ(゚∀゚)ノ
     ほんとうにありがとうございます!・゚・(ノД`)・゚・

『良』: ありがとうって・・・まぁ・・・以後、気をつけて下さいよ・・・

『善』: 真に申しわけございません!本当にご迷惑をおかけしました。

『良』: それでは安全運転をお願いしますね。

 


作戦成功! いや、誠意が伝わったのだ!

やはり人間生活上、誠意は重要なことである。

 

何といっても、この22キロは大きいのである。

110キロ(高速30キロ超過)なら違反点数が3点。
一方、12キロ(高速52キロ超過)なら違反点数が12点で免停になるのだ。

ありがたや、ありがたや。

 

確かにこの日は急いでいたのだが、BGMも悪かった。

この時、AC/DCをカーステレオで聴いていた。
AC/DCのドライブ感は実に高速道路の走行によく合うのである。
そのため、気持ちよくアクセルを踏み込んでしまうのである。

 

ROCKに関しては硬派だった中学生の頃はAC/DCが大嫌いだった。

このような下品なジャケットが許されなかった。

地獄のハイウェイ(紙ジャケット仕様)

地獄のハイウェイ(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2007/12/19
  • メディア: CD


またジャケットもタイトルもふざけている。

「ギター殺人事件」

ギター殺人事件~AC/DC流血ライヴ~(紙ジャケット仕様)

ギター殺人事件~AC/DC流血ライヴ~(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2007/12/19
  • メディア: CD

 

それにもまして、ギターのアンガスヤングのランドセルに半ズボンルックスでギターを
弾くスタイルが受け入れられなかったのである。

 angus young_09%5B1%5D.jpg

しかし、高校生になって偶然聴いたAC/DC。
軽快なロックンロールはたいへんに気持ちが良かったのだ。

 

先日、昨年10月に出た新譜を聴いた。

Black Ice

Black Ice

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Columbia
  • 発売日: 2008/10/20
  • メディア: CD


このバンドは30年前のアルバムも、この度の新譜も全く変わらないほどスタイル
が確立されているのだ。(ワンパターンともいえる)
スタイルが完璧に確立されているといえば、ストーンズである。
しかし、ストーンズは各時代(流行に合わせ)によって音の感触が異なるのである。

しかし、このAC/DCは30年以上前のデビューアルバムから新譜まで、音の感触
が全く同じなのだ。

これはワンパターンということ以前に凄いことだと思う。

AC/DCはデビュー以来の”確立したスタイル”を武器に、生き残ってきたのだろう。


高速走行には持ってこい!のAC/DC!

しかし、CDに注意書を明記してもらいたいものだ。

 

『あなたの免許を失う恐れがありますので車での鑑賞には注意しましょう』

 

 

HIGHWAY TO HELL  /  AC/DC

やはりAC/DCのボーカルはBon Scottがいい!
しかし、1980年に泥酔して寝たままゲロを喉に詰まらせて死んでしまった。
気をつけなければ・・・・・

 

変わらない近年の演奏!

 


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Yesterdays [JAZZ]

コンサートや演劇等、いわゆるライブが好きな人は解って頂けるのではないだろうか。

オープニングの瞬間の緊張感や高揚感!

あの感覚がある限りコンサートはやめられない。


レコードを自由に買えなかった学生の頃、好きなミュージシャンの新譜を購入して
レコードに針を落とす時、コンサートほどではないが緊張感や高揚感があった。

以前にも書いた事があるが大人になり、ある程度自由にCDを買えるようになって
一枚のアルバムの『ありがたみ』が薄れてしまった事と同時に自分の感性が鈍って
きたのかもしれない。

思い入れの強いミュージシャンでも以前ほど、ニューアルバムを聴いて心ときめく
事も少なくなってきたようだ。


Keith Jarrett のニューアルバムを発売日に購入した。

Yesterdays  /  Keith Jarrett

Yesterdays

Yesterdays

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ECM
  • 発売日: 2009/01/27
  • メディア: CD


僕にとってKeith Jarrett は常にニューアルバムを待ち望むミュージシャンの一人
である。
ニューアルバムを聴く度に「素晴らしい!」と感じるのだが最近のアルバムは以前
ほど、気持ちの高揚感が感じられないように思っていた。

しかしこの度のニューアルバム『Yesterdays』は見事に”来た!”のである。

アルバム1曲目の『Strollin' 』。
CDの再生ボタンを押して23秒後!久しぶりに”あの高揚感”をあじわうことが
出来たのである。

『Strollin' 』はジャズピアニストの Horace Silver の名曲である。

Horace-Scope / Horace Silver
 
ホレス・スコープ
  • アーティスト: ホレス・シルヴァー,ブルー・ミッチェル,
  • ジュニア・クック,ジーン・テイラー,ロイ・ブルックス
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2008/06/25
  • メディア: CD

Horace Silver はもっともブルーノートらしいミュージシャンでファンキージャズ
の代表的なピアニストである。

Keithはこの対極的とも思われるミュージシャンのファンキーな原曲の魅力を全く
失わせる事なくKeithならではのフレーズで演奏しているのである。

1曲目良ければ全てよし!

コンサートでもアルバムでも1曲目の印象というのは本当に重要である。
1曲目で魅きつけられると、それ以降の期待度も増して聴く気合も変わってくる。

このアルバムは2001年4月の東京公演を収録したライブ盤である。
Keithが慢性疲労症候群という難病を克服して復帰後の公演である。
この頃からKeithの演奏は、80年代の演奏のように極限まで研ぎ澄まされた
演奏に比べて肩の力が抜け、リラックスした演奏のように感じるのだ。

この『Yesterdays』は久しぶりに一気にCD全曲を聴き通したアルバムだった。


ただし一つだけ、気になるところがあった。
アルバムの最後にボーナストラックとしてオーチャードホールのサウンドチェック
用の演奏『Stella By Starlight』が収録されているのである。

非常に貴重なトラックである。
しかしライブアルバムにこの様な異質なトラックを収録して欲しくないのだ。
ライブアルバムはやはりライブで終結してもらいたい。
アルバムとしてのトータル性を考慮して欲しいのである。

ECM(レコード会社)もその辺の事を考慮したのか、このボーナストラックの前
に約15秒の無録音状態をつくっている。

それなら価格アップしてもボーナスCDとして収録して欲しかったものだ。

とは言っても、このサウンドチェック用トラック『Stella By Starlight』は興味
深い演奏である。

Keithの『Stella By Starlight』といえば1985年の名盤『Standards Live』
のオープニングを飾る名演がある。

Standards Live

Standards Live

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Universal/Polygram
  • 発売日: 2008/08/26
  • メディア: CD

 

先に書いたようにKeithだから成し得た極限まで研ぎ澄まされた演奏である。

この度のサウンドチェック用のトラックは、これとは対照的な演奏で良し悪しは別
にしてKeithのリラックスした演奏が聴けるのである。

 

うれしいことにこの度はアナログも発売される。

Yesterdays [12 inch Analog]

Yesterdays [12 inch Analog]

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ECM
  • 発売日: 2009/02/09
  • メディア: LP Record

 

 

 

学生時代、新宿厚生年金会館で観た”Keith Jarrett Standards Live”


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神戸のレコード屋 [JAZZ]

『りくろーおじさんのチーズケーキを買ってこい!』との指令をうけた。

 20090116(003).jpg
 
りくろーのチーズケーキは難波や梅田で買っていたが最近、三宮そごうに出店した
ため神戸でも買えるようになった。

しかしデパートの地下の小さな店舗のため、タイミングにもよるが難波店のように 
いつでも焼きたてを購入する事は出来ない。 
 (結局、家に持って帰れば冷えているのだが・・・)

 

そのついでに久しぶりにタワーレコード神戸店に行ってきた。

 20090116(001).jpg

以前、神戸店は三宮センター街あったが、駅前のテナントビルに移転してからは
一度も訪れたことがなかった。


僕が初めてタワーレコードに行ったのはタワーレコード渋谷店。
大学受験で上京した時の事、現在の渋谷店とは違いの渋谷のセンター街を抜けた
宇田川の店舗だった。
 
その時は輸入盤専門店として店舗の広さとLPの多さに驚いた。
 
そして黄色と赤でデザインされたロゴのネオンやレコード袋、また店舗の隅に山積
された輸入盤のダンボール箱の光景にアメリカを感じたものだった。
 
僕は大学生になり東京に住むようになってからは、週に一度はタワー渋谷店に通う
ようになった。

そのためにバイト代の半分以上がレコード代で消えていった。

この頃、僕はタワーレコードで気になっていた事があった。
レコードの量は多いがあまり整理がされていなかったのである。

ある日、タワーレコードのバイト募集の張り紙を見つけた。
 
「そうだ!タワーレコードでバイトをしよう!」
「そして、売り場を整理するのだ。」
「趣味と実益が一致した魅力的で理想的なバイト先ではないか!」

そう考えた僕は面接に行ったのだが、時給の安さと週6日の勤務という労働条件
でタワーレコードのバイトを断念したのだった。
 
考えてみればタワーレコードとは長い付き合いである。
そもそも、今でも”レコード”という名前が残っていることに愛着を感じる。
そう、あの頃は『レコード屋』と呼んでいた。

僕が学生時代は東京にしかなかったタワーも今や全国津々浦々に店舗がある
ということは、たいへんにありがたい。

僕はかなりマイナーなレコードやCDは行きつけのジャズ専門の店で購入している
がそれ以外のものは大体、タワーレコードで購入してきた。
また、僕の場合は一般の人に比べると少々マイナーなCDを買うため、ある程度の
品揃えの店舗でなければ店に入る気も薄れてくるのである。
 
そのような事もあり、タワーレコード神戸店には立ち寄る機会も少なかったのだ。
 
新しい神戸店は以前よりスペースは広くなったが梅田店や難波店にはかなわない。
品揃えも以前よりは良くなったが、『当たり前のCD』(大型店として揃えているのが、
当然のCD)を揃えるだけで精一杯といった感じである。

ところで、新しい神戸店にはラウンジスペースがあった。

神戸のCDショップとしては一番広いのだろうが、梅田店や難波店のような大型
店舗に比べるとやはり狭いスペースなのだ。

ラウンジスペースでお洒落な演出をしたいというのも解らないではない。
しかし僕にとってタワーレコードといえば、学生時代の渋谷店のように雑踏とした
中でLPが大量に置かれている無骨でアメリカ的なイメージのほうが落着くのだ。

また、神戸店はタワーにとって地方店の一つかもしれない。
しかし、地方店といえども神戸の店なのだ。
小さくても特徴のある(神戸らしくJAZZの品揃えを充実した)店にするとか・・・
ぜひとも、頑張ってほしいものである。

 


ということで、『当たり前にどこでも売っているCD』を買って帰った。
Five For Fun / High Five (High Five Quintet)

ファイヴ・フォー・ファン(6ヵ月限定スペシャル・プライス)
  • アーティスト: ハイ・ファイヴ
  • 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
  • 発売日: 2008/11/19
  • メディア: CD

スイングジャーナルのゴールドディスク選定盤である。
 
とはいえ、スイングジャーナルのゴールドディスクに選定されなかったらマイナー
なイタリアジャズのCDとして扱われたかもしれない。
ヨーロッパ系ジャズといえば繊細である種、”静か”な演奏が多い。
しかし、このバンドはファンキーなハードバップを演っているのである。
また、時折ヨーロッパ特有の哀愁感漂うメロディーも聴かせてくれるのだ。
特に2曲目の”Ojos De Rojo ”のサックスのフレーズは僕好み!
このアルバムはJAZZをあまり聴いていない人も楽しめるアルバムだと思う。


現在、この日本盤CDは期間限定特別価格盤として¥1,980で売られている。
 
タワーの手書きのPOPには『特別価格!輸入盤より日本盤のほうがお得ですよ!』
と書かれてあった。
 
さすがに、輸入盤店らしいPOPだった。


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よい年になりますように! [ROCK]

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願い致します。


皆様のおかげで昨年一年間もブログを続ける事ができました。

昨年、特に後半についてはバブル崩壊の時でも、あじわった事のない不況で
我々の働く民間企業は大混乱となっております。

とはいっても、今こそ前向きな気持ちを持たなければいけませんね。
今年も一年、皆様と明るい話題と元気を共有していければ、と思っています。


さて、昨年の年初はキースジャレットの日本公演の記事から始まりました。

今年は・・・・・

 

 DSC0032.JPG

JEFF BECK JAPAN TOUR 2009

僕がもっとも思い入れの強いROCKミュージシャン JEFF BECK です!
昨年のキースに引き続きなんと幸運なことでしょうか!


前回、僕が観たコンサートは2005年、この時も大阪厚生年金大ホールでした。
その時の特に感動した曲が『TWO RIVERS』。
この曲は『Guitar Shop』という名盤に収録されています。

Jeff Beck's Guitar Shop

Jeff Beck's Guitar Shop

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony/Epic
  • 発売日: 2008/02/01
  • メディア: CD

 

最近は、自分の観たコンサートの高音質ブートレッグ盤が手に入ることがあります。
以下は僕の観たコンサート、2005年7月9日の感動の『TWO RIVERS』です。(ブートレッグ)

 

 

さて、今年が皆様にとってよい年になりますように!

また今年もどうぞご贔屓に!!!


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本当にさようなら、大阪フェスティバルホール [POPS]

以前、大阪フェスティバルホールの閉館の記事を書いた。
来年は解体される大阪フェスティバルホール。
あのキースジャレットのコンサートが、僕にとって大阪フェスティバルホールでの最後
のコンサートだと思っていた。

 フェスティバルホール.JPG

先日12月27日、山下達郎のコンサートにいった。

僕は最後にもう一度大阪フェスティバルでコンサートを観ることが出来た。

 入場.JPG

以前の記事で山下達郎は「大阪フェスティバルホールを壊すことはカーネギーホール
やオペラ座を壊すことと同じようなもので愚行である。」と言った事を書いた。

この日のコンサートで達郎は「ニューアルバムを発売していないのに全国ツアーをする
のは、大阪フェスティバルのクローズという事で決定した!」という事を言っていた。

もともと達郎がメジャーになったのは70年代後半、”BOMBER”が大阪のディスコで
ヒットしたのがきっかけだった。
達郎自身は大阪の地とフェスティバルホールには特別の思い入れがあるらしい。
そのためコンサートでは、フェスティバル関係者に対して「バカ!」を連発していた。


達郎   :「この会場を壊すなんて、バカですよ!」

蟹道楽: 全くその通り!

達郎   :「41階の高層ビルにするらしいとか!ゼネコンの言いなりになって!」

蟹道楽: ・・・(僕の立場として、これには何ともコメントできない・・・)

 

この度の全国ツアーは「RCA/AIR YEAR スペシャル 2002 ツアー」から
6年ぶりのコンサートである。

僕は80年代から達郎のコンサートは必ず観てきた。
もうすぐ56歳の達郎は80年代のようにぶっ続けで4時間以上のライブというのは
さすがにやれなくなったのだろう。
コンサートでも”トークによる間”をとることが多くなった。

ライブは”SPARKLE”で始まりイントロのテレキャスターのギターに酔いしれる。
後半の”LET'S DANCE BABY”では観客がみんなでいっせいにクラッカーを鳴らす。
最後の”RIDE ON TIME”は達郎がステージ後方よりノーマイクでシャッフルする!
そしてアンコールの最後はソロによる”YOUR EYES ”で感動のエンディングとなる。

まるで『水戸黄門の印籠による結末」や『最後は勝利するウルトラマン』の様な日本人
好みの”おきまり”の安心感や期待感がある。

コンサートで達郎は「僕はどのようになろうと、絶対にディナーショーはやりません」
と言っていた。

数多くのヒット曲を”懐メロ”には絶対にしないという。

「パッションがあれば、昔の曲も絶対に”懐メロ”にはならない!」

達郎がこの度のコンサートで強く言っていたことだ。


最近の山下達郎のアルバムについて個人的には以前とは違ってパワーダウンしている
様に感じてしまうがライブの達郎は違うのである。

僕が二十数年間、達郎のコンサートを楽しみにしているのは、けっして懐メロではなく
達郎には”パッション”があり続けるからなのだ。


いつもどおりの山下達郎ワールドに魅き込まれた3時間。
全21曲のコンサートはあっと言う間に終わってしまった。

6年ぶりの全国ツアー。
次の達郎のコンサートは何年後だろうか?

6年後なら達郎は還暦を過ぎているし、僕も50歳を超えてしまう・・・
そう思いながら心地良い余韻で最後の大阪フェスティバルホールを後にしたのだった。

 

 会場2.JPG

 

大阪フェスティバルホールでの最後のコンサートが山下達郎というのは幸運でした。

今年はこれが最後の記事です。
この一年間、皆様にはお世話になりありがとうございました。

それでは皆様、良い年をお迎えください。

                                       蟹道楽


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