１２月８日

ジョンレノンが撃たれた日。
僕は高校2年生だった。

「悲しい」、とか「つらい」、とか・・・不思議にそんな気持ではなかった。
驚いたというか・・・信じられない・・・というか、残念な気持だった。

大きなネタを得たマスコミは、まさに”水を得た魚”のようだった。

テレビ局は、こぞってジョンの追悼番組を放映した。
ほとんどの番組はビートルズ時代の映画やソロ時代のジョンの映像を切り貼りしたもの
を流し、音楽評論家が”当たり前の事”を討論する粗悪な内容だった。

ラジオ番組はジョンとビートルズの曲を流し続けた。

ニュースではアナウンサーが白々しくも”昔からジョンのファンだ”と誇らしげに語り、
街角インタビューでは、ねえちゃん達がヘラヘラ笑って「悲しいです！」と答えていた。

マスコミの過剰な報道のおかげで、高校の中でも「”びーとるず”の”じょんれのん”って
いうメンバーが殺されたらしいで！」という会話が聞こえてきた。

そもそも僕が高校生の頃は、ROCKというか洋楽を聴いている人はクラスに一人か二人
くらいのものだった。

最近はＲＯＣＫは一般的になったが、この頃ＲＯＣＫを聴いているのは少数だった。

また当時、音楽雑誌に東芝ＥＭＩが”追悼盤”としてジョンやビートルズのレコードの広告
を大きく掲載していた。

ジョンの死に関連した事すべて、商売のニオイがプンプンしていた。

まさしく”祭り”だった。

高校生の僕でも、ジョンレノンに群がるマスコミや企業は死肉をあさるハイエナのように感じた。

そもそもジョンの死を深刻に受け止めている人は、ほんの一握りのファンだったと思う。

また、この二十数年間でジョンレノンはマスコミによって”神”に祭り上げられたように感じる。
今、仮にジョンが生きていたら、ここまで神格化されてなかったとも思う。
ジョンについて評論家やマスコミは”カッコよく解釈した”思想的な部分を取り上げて、
いかにも自分たちがジョンの理解者のように振舞ってきた。

僕にとってジョンは”神”でも”教祖”でもない、天才ミュージシャンでありアーティストなのだ。

ジョンが亡くなって3年位はテレビもラジオ局も頻繁にジョンの特集番組を放送していた。
しかし、熱も冷めてしまって近年は”この日”を特別に取り上げなくなった。

僕はビートルズで音楽に目覚めた。
ジョンは初めてに好きになった大切なミュージシャンである。

僕はジョンが亡くなった日から、毎年”この日”はじっくりとジョンのアルバムを聴いてきた。

ただ、３年前の”この日”、一日だけジョンを聴けなかった日がある。

 

 

僕の親父は、入院中に突然病状が急変して亡くなってしまった。

驚いた事と、あまりにも慌しかったせいか、その日のことをはっきり憶えてない。

しかし、”この日”一瞬だけ時間が空いた時のことを憶えている。

突然の事だった為、頭の中が真っ白になり病室で”ボー”っとしていた時のこと。

病室の壁に吊るした小さなカレンダーがエアコンの風でゆらゆら揺れていた。

そのカレンダーを見て「ジョンレノンと同じ日か・・・・・」と思った。

１２月８日

決して忘れられない特別な日なのです。

コメント 26

もうそんな時期なんですね
早いな～
by (。・_・。)２ｋ (2006-12-08 00:52) 

日付が変わっていたんですね
私は特別ジョンが好きだったわけでもなかったのに
一報を聞いたときは重たい石を飲み込んだような気分でした
ショックという言葉だけでは表せない脱力したような
固まってしまったような・・・周りから音が消えた気がしました

お父さまのご命日でもあったんですね
by かおり (2006-12-08 01:00) 

あの日は、渋谷のジャンジャンで、ダウンタウン・ブギウギ・バンドのライブを観る為に、並んで待っていたことを今でも良く覚えています。大学1年でした。
公園通りを歩く人たちが、ジョン・レノンの突然の訃報を話しているのを耳にして、びっくりしたものでした。
お父さんが同じご命日だったんですか、今日は特別な一日ですね。改めて、ご冥福をお祈りします。
by ベアトラック (2006-12-08 12:00) 

蟹道楽さんにとって、大切な日なんですね。
by たいへー (2006-12-08 14:06) 

そうなんかぁ～　知らなかったなぁ　。。
ジョンレノンやビートルズの曲って時代は変わっても、ちっとも古い気がしないです。　いいものっていつの時代でもキラキラしてるんでしょうねっ。
私の片パットの入ったスーツはすっごく古い気がするんだけど(^w^) ぶぶぶ・・・
by a-k-i (2006-12-08 17:25) 

わたしは当時まだ中学生でしたが、社会科の先生が非常に深刻な顔をしていたのを思い出します。お父様のご命日でもあったのですか。12月8日は、これからも蟹道楽さんにとって特別な日として思い起こされるのでしょうね。
by 鯉三 (2006-12-08 17:34) 

(。・_・。)２ｋ さん
最近特に時間の流れの速さに戸惑います。
by 蟹道楽 (2006-12-09 00:34) 

青い花さん
音楽好きなら、誰でも大なり小なりショックだったと思います。
そのくらい存在が大きいミュージシャンでした。
by 蟹道楽 (2006-12-09 00:36) 

ベアトラックさん
ありがとうございます。
ジャンジャン懐かしいですね。小さなホールでしたが独特の雰囲気を持ってましたね。　学生時代、渋谷は僕のキーステーションでした。
by 蟹道楽 (2006-12-09 00:40) 

たいへーさん
いつもありがとうございます。
by 蟹道楽 (2006-12-09 00:41) 

a-k-i さん
これからもビートルズやジョンは全く色あせる事はないでしょうね！
流行は繰り返しますので３年後は片パットの入ったスーツが流行っているかも？
by 蟹道楽 (2006-12-09 00:44) 

鯉三さん
社会の先生は本当にジョンのファンだったのでしょうね。
僕もそんな先生に出会いたかったですね。
by 蟹道楽 (2006-12-09 00:47) 

今一度、LOVE&PEACEについて考えなければ＊＊＊＊

そう思う今日この頃：：：
by megumi (2006-12-09 04:05) 

偶然うちの弟の誕生日が１２月８日です。ジョンが撃たれた日だったなんて全く知りませんでした。終戦記念日と憶えていましたが、違った？！
私、よくクリスティーを読むのですが、解説にジョン・レノン射殺犯を捕らえたダコタのドアマンの名前がジェイ・ヘイスティングズと言う名であると書いてある一冊があります。名探偵ポアロの友の名もヘイスティングズ！この偶然(゜o゜)
by ぐれなでぃん (2006-12-09 12:54) 

私も有名人と同じ日に・・・
そしたら忘れずに供養してくれるかな。
by koto (2006-12-09 21:31) 

megumiさん
megumiさんらしい切り口でLOVE&PEACEについての記事を書いてください。
by 蟹道楽 (2006-12-10 00:59) 

ぐれなでぃん さん
アガサクリスティーですか！
僕は性格が”イラち”な為、ミステリーとか推理小説が読めません！
何故なら、いきなり後ろを読み始めてしまうからです。
性格やから、直すことは難しいでしょうね。
by 蟹道楽 (2006-12-10 01:05) 

kotoさん
優しいkotoさんは、みんな忘れずに供養してくれるでしょうね！
おいおい、まだまだ先の事やんか！
kotoさんは”善人は長生きする”タイプでしょうね。
by 蟹道楽 (2006-12-10 01:08) 

のらりくらりさん
ありがとうございます。
by 蟹道楽 (2006-12-10 01:13) 

そうなんですか・・・
お父さんの命日がジョンレノンと一緒とは・・・
若い頃、ビートルズはほとんど聞いたことがありませんでした。でも、今は逆に良く聞きます。やはり、ジョンレノンは偉大なミュージシャンだと今、あらためて感じます。
by 2ndLT (2006-12-10 14:05) 

お久しぶりです。こんにちは。
シャンソンがお好きなお父様の命日がジョン・レノンと同じ・・・。
ジョン・レノンを敬愛する私たちにとっては特別な日が、蟹道楽さんにとっては
本当にとても特別な日になられたのですね。
お父様とジョン。どちらも空の上で楽しく過ごされていることを心から
お祈りします。
by moon (2006-12-10 20:11) 

2ndLTさん
昔からジョンレノンの曲はあまりコマーシャルな作品ではないのにこれだけの人を引き付けるというのが、不思議でした。
ポールは曲作りでは天才ですが、ソロになってからのポールは・・・・・
ケーキも一個目は美味いのですが、二個目、三個目になると、ちょっと・・・って感じでしょうか？
曲にアバンギャルドさ（実験的な要素（ポジティブな姿勢））がジョンにはかなり感じられます。
これが、大きな理由ではないか！と思ってます。
by 蟹道楽 (2006-12-11 00:22) 

moonさん
お久しぶりです。
過去の記事（シャンソンの話）を憶えていてくれたとは！
ありがとうございます。
まっ、親父の事ですから、友人と好きな骨董を肴に酒を飲みながらシャンソンを聴いて楽しんでいるでしょうね。
by 蟹道楽 (2006-12-11 00:26) 

コメントが入っておらず失礼しました。
お父様とジョン・レノンの命日が同じなんて…。
本当に特別な日だったのですね。
私もあの日の衝撃は、忘れることができません。
銃社会の虚しさをいやと言うほど感じさせられました。
ジョン・レノンは、ビートルズの中でも
別格のミュージシャンだったことは、言うまでもありません。
…
ジョン・レノン仕様の眼鏡（鼻あてのない）もお気に入りでした。
by のらりくらり (2006-12-12 00:43) 

のらりくらり　さん
度々ありがとうございます。
今の日本から考えると一般人が普通に銃をもっていたとすると・・・
最近事件が多い今日この頃、考えるだけでゾッとします。
by 蟹道楽 (2006-12-12 01:01) 

そっかー・・お父さんも同じ日なんて、、、奇遇だなぁ・・・・・・・、
ジョンの撃たれた日は寒い頃だったのだけ覚えている。
アメリカから帰って間がない頃だったので「あーッやられてしまったか・・」
と、とんでもない事が当たり前に起こってしまう国だと再認識した。
奇しくも同じく、凶弾に倒れたケネディも同じ名だったよなー。
いずれ日本も・・・？　と想っていたら、、、今、まさにその時代が
やってきた。。恐いものです。。。。

何人を失っても心が心に刻まれて、人の中で活き続けるよなー。。。
by norman (2006-12-15 12:43)