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MY FOOLISH HEART [JAZZ]

中高生の頃、国語の授業が嫌いで成績が悪かった。

言い訳をすると国語の授業に興味が持てなかったのだ。

教科書で使われる文章は面白くなく、疲れるものだった。
文章のほとんどは小難しく、ひねったものばかりだった。

その”面白くない文章”で授業やテストが行われる訳なのだ。
本気で読む気が起こらないし、設問は答えられない。
そのため授業も嫌いになり、テストの点数も最悪になってしまう。

全くの悪循環である。

まあ、自分の読解力や文章力の無さは十分に承知していたのだが・・・


中学、高校時代に国語の教師によく言われたことがあった・・・・・・


「蟹道楽、キミのおやじは何の先生だ?」


僕の親父は国文学を教えていた。
おかげで国語の教師達から、よく嫌味を言われたものだった。


ある日、親父が大学生達の論文を読みながら言ったことがある。

「最近の大学生はみんな”難しい文章”を書くので読むのに苦労する。」
「難解な文章を書くことで、高尚な文章を書いていると勘違いしているのか?」
「簡単でみんなに解りやすい文章を書くことが一番重要なのだ。」
「優れた文学は皆、解り易く読みやすい。ただしプラスアルファがあるのだ。」

そしてその時、親父が話した一番印象に残っていることは・・・

「人に読んでもらいたい文章や何かを伝えたい文章を書くのなら、中学生が
読んでもすんなり解る文章でないと伝わらないし、人は読んでくれない。」

「シンプルで誰にでも解りやすい文章を書くのは難しいものなのだ。」

 

 

マイ・フーリッシュ・ハート

マイ・フーリッシュ・ハート

  • アーティスト: キース・ジャレット・トリオ
  • 出版社/メーカー: UNIVERSAL CLASSICS(P)(M)
  • 発売日: 2007/10/03
  • メディア: CD


キースジャレットトリオの新譜が発売された。
この度は2001年モントゥルージャズフェスティバルでのライブアルバムである。

最初に聴いた特は”何だかピン”と来なかった。

正直、キースにしては”物足りない感じ”をうけたのである。

最近のキースジャレットトリオのアルバムで感じていた事だが、80年代の頃に比べて
”軽量化されてきた”のは感じていた。

80年代のキースジャレットトリオのほうが重圧感があったように感じている。

この度発表されたライブ盤はこの”軽さ”が顕著に現れているように感じた。

はっきり言うと”解りやす過ぎる”と感じたのである。

「JAZZは難しい音楽だ、良く解らない!」と言われることがある。

その度に「そんな事は無い!もっと気軽に聴いたらいいのだ!」という事をよく言っていた。

しかし、知らず知らずの内にJAZZを高いレベルの音楽として聴いていたのではないか?

この度のキースジャレットトリオの新譜を聴き込む内にそう思うようになってきた。

この新譜は今までのキースジャレットトリオのアルバムの中で一番スイングしている。

JAZZ本来の”楽しみ”であるスイング感あふれるアルバムなのだ。

また、アドリブも今まで以上にメロディアスで聴きやすくなっている。

このアルバムは実にシンプル?で解り易い(楽しい)アルバムなのだ。

他のアルバムよりキース得意の美しいバラードが少ないのが残念に思うが
聴けば聴くほど天才キースの感性が伝わってくるアルバムだった。


「芸術作品で解りやすく心に伝わってくる作品をつくり出すことは難しい」


このアルバムはJAZZを初めて聴く人も”あまり抵抗なく”聴けるアルバムだと思う。

 

 

 

 


今日は12月8日

 

     

   

  
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ベアトラック

そうだったんですか・・・蟹道楽さんのブログがわかりやすくてとっても面白い理由が、今やっとわかりましたよ!血筋だったんですね。

彼の訃報は、当日、渋谷公園通りの(今は無き)「ジャンジャン」での某バンドのライブに並んでいる時に知りました。
by ベアトラック (2007-12-08 07:13) 

たいへー

誰にでも分かりやすい文章は、とても難しい・・・
ブログをやってると、特に感じます。
自分なりにこだわって書いたものより、
何気なく乗せたものの方が反応が良かったりする。
面白いものですね。
でも音楽モノは、やっぱり「力」入っちゃうんですよ・・・(汗
by たいへー (2007-12-08 07:25) 

かおり

蟹道楽さんのお父さまのおっしゃること、私も常々思っていることです
分かりにくいことを伝えるときに、相手に対してわかりやすく噛み砕いて
話せることが、本当の意味で"理知的"なことだと思っています
当然自らが理解できていなければ出来ないことなんですけどね^^
なので蟹道楽さんのお書きになる文章は笑わせてくれるけれども
やはり理知的だと思いながら読ませていただいていますよ♪
ワザとのように小難しいことを言って人を煙にまく”エライ人たち”は
もしかするとあんまり頭がよくないのかも・・・^^;
私の文章は・・・独りよがりで分かりにくいのかもしれませんね(笑)
by かおり (2007-12-08 10:51) 

かおり

ああ・・・1年が早いですね
去年もジョンの記事を書いていらっしゃいましたね
by かおり (2007-12-08 10:52) 

2ndLT

蟹さんのお父上が教職だったとは知りませんでした。
分かりやすい文章と言うのはいつも職場で教育されていることです。
誰が読んでも分かるように簡潔に書くことと文書管理規則に書かれていますし、例文もそのように載っています。公文書は特にその必要があるからなんでしょうね。
キースの新作さっそく聞いてみようと思います。
蟹さんはキースの74年頃の”BELONGING"と言うアルバムをご存知でしょうか?このアルバムもえっこれがJAZZと思えるほどシンプルなアルバムでした。その後のキースはSTAIRCASEなどのアルバムのようなJAZZとはかけ離れていると言われるようなアルバムもありましたね。つまり、キースは一定の自分のスタイルに固執することなく常にオルタネイトしているのだと思います。そこが偉大なミュージシャンである所以ではないかと思うのです。マイルスもコルトレーンもよく聞いてみるとどんどん難解になっていきましたが、キースの原点はBELONGINGや新作のように分かりやすい音楽なのかもしれません。
by 2ndLT (2007-12-08 10:57) 

koto

わかりやすい文章。
簡単・簡潔を心がけているのですが、簡潔すぎると意思がつらわらないもんですね~ 基礎ができてないからね。
基礎→難解→それを乗り越えたわかりやすさ。
絵も同じです。
by koto (2007-12-08 16:35) 

びっけ

蟹道楽さんのお父さんの言葉、とても心に響きました。
>人に読んでもらいたい文章や何かを伝えたい文章を書くのなら、中学生が
>読んでもすんなり解る文章でないと伝わらないし、人は読んでくれない。
あぁ・・・確かにそうです!
この教えを蟹道楽さんは しっかり実践できていると思います。
蟹さんのおっしゃりたいことや気持ちが文面からちゃんと伝わってきてますもの。
いい話を聞けました。ありがとうございます!
そして、ジョンに合掌。
by びっけ (2007-12-08 19:59) 

400字詰め原稿用紙を何枚も書くよりも、50文字以下にまとめるものほど
難しいものはありません。
もっと言えば短歌・俳句の世界がそうですよね~

私は蟹道楽さんの文章構成が好きです。
by (2007-12-08 23:04) 

蟹道楽

Krauseさん
いつもありがとうございます。
by 蟹道楽 (2007-12-09 01:15) 

蟹道楽

ベアトラックさん
血筋は全く受け継いでおりません。
国語の成績や偏差値ではとんでもない点数を取っておりました。
渋谷のジャンジャンの事は以前も教えていただきましたね。
そういう場所で聞いたことは余計に印象に残るでしょうね。
by 蟹道楽 (2007-12-09 01:16) 

蟹道楽

たいへーさん
たいへーさんのブログを読ませていただいていつも感じるの事があります。
「どうして、このように言葉数が少なくても(回りくどい説明が無くシンプル)
効果的な表現ができるのだろうか!」という事です。
これはたいへーさんの文才以外何物でもありませんね。
by 蟹道楽 (2007-12-09 01:16) 

蟹道楽

nicoさん
ありがとうございました。
by 蟹道楽 (2007-12-09 01:16) 

蟹道楽

青い花さん
褒め殺される~
何も出ませんよ!(笑)
というか、今までこれほどまでに褒められたことがありませんので・・・
何と言っても、国語が2だった蟹道楽でしたからね。
正直、文章を書くのが嫌いでしたが、手紙を書くのは好きでした。
好きな事を自由に書けますからね。
それより僕は青い花さんが毎日よくあれだけの文章を書けるものだ!と
いつも驚いておりました。
また、何よりも青い花さんは言葉をよくご存知な事が羨ましく感じてました。

ほんとに最近は一年が早いですね!
by 蟹道楽 (2007-12-09 01:16) 

蟹道楽

2ndLTさん
ビジネス文書というのは見事にまでも”贅肉をそぎ落とした文書ですね!
パターン化されていてもある程度の教育を受けないと身につきませんね。
ビロンギングは僕も大好きなアルバムです。
というか、ヨーロッパカルテットのころのキースはよく聴きます。
確かにコルトレーンのインパルス時代など、正直A面全部聴き通すのは
かなりの根性がいりました。
キースの実験的な音楽はアバンギャルドな面と究極の美の部分が見事に
混在しています。(これが、逆に中毒性を持ってしまうのです)
全てがアバンギャルドな音楽は逆に保守的なものを感じます。
by 蟹道楽 (2007-12-09 01:17) 

蟹道楽

kotoさん
kotoさんの文章もたいへーさんと同じようにシンプルで実に効果的な表現
をされていて、みごとな文章だと思っております。
どうも僕の場合はシンプルに表現出来ないのですね・・・
絵の場合の >>基礎→難解→それを乗り越えたわかりやすさ
ピカソの若い時の絵って写実的で実に凄い絵を描いていたのですよね!
やはり基礎があっての事ですね。
by 蟹道楽 (2007-12-09 01:17) 

蟹道楽

びっけさん
僕の親父も頑固者でしたので、よくこのような事を言っておりました。
僕は文章を書くのが嫌いでしたが、会社に入って社内報の編集をさせられ
るようになったのがきっかけで、少々文字を書くようになりました。
不特定多数の読む社内報の編集作業をやっていると、あの時親父の言った
ことが、納得できるようになりました。
お褒め頂ましてありがとうございます。
しかし、全く出来ておりません(涙)
by 蟹道楽 (2007-12-09 01:17) 

蟹道楽

しゃおたおさん
子供の時の400字は気が遠くなるようにしんどかったのを憶えています。(笑)
今、真剣に考えて書く50字の文章って難しいでしょうね!
俳句とか短歌の文化は日本人は諸外国の方々と違って京都的な文化(言わずも
解る)があるから出来るのではないでしょうか?

このたびは褒め殺し状態の蟹道楽です・・・
by 蟹道楽 (2007-12-09 01:17) 

文章と音楽って似ている気がします。分かりやすさは最も大事ですが、言葉選びとか、サービス精神とか、展開とか、どこまで詳しく書くかとか・・・。

蟹道楽さんのブログを拝読していると、内容だけでなく、文章からもお人柄が伝わってきます。私の場合は、アバウトかつ、思い込みの激しい性格が・・・。

キース・ジャレットのような演奏家も、熟練してくると音が分かりやすいところ向いてくる、というのも、なるほどと思いました。
by (2007-12-09 16:58) 

蟹道楽

つんさん
前にもコメントいたしましたが、あまりアバンギャルド過ぎると保守的なものに感じてしまいます。小難しい事を言っても結局は基礎がしっかりしていないと、すぐに化けの皮も剥がれてしまうでしょう。
このたびのキースのアルバムは変化球無しのストレート一本でした。
そして、その素晴しいストレートを改めて認識したアルバムでした。

僕は思い込みが激しく、頑固ですよ!
by 蟹道楽 (2007-12-12 00:38) 

蟹道楽

ab-ovo さん
ありがとうございました。
by 蟹道楽 (2007-12-12 00:38) 

蟹道楽

たねさん
ありがとうございました。
by 蟹道楽 (2007-12-12 00:39) 

鯉三

わたしも蟹道楽さんの文章が好きです。お父様がおっしゃっている「プラスアルファがある」のだと思います。それは技巧なんかではなく、何かの拍子ににじみ出た産物なのかもしれません。そういうのは狙ってできるものではありません。

文章を書いて、それを公開していることに時々唖然とすることがあります。
基本的にブログはお気楽なものだと思っているのですが、それでも読んでくれる人がいるのですよね。嬉しいような怖いような...

MY FOOLISH HEARTといえば、やはりエバンスです。しかし、キース・ジャレットの肩の力が抜けた演奏も聴いてみたいと思っています。
by 鯉三 (2007-12-12 01:20) 

蟹道楽

鯉三さん
お褒めいただきまして・・・恥ずかしい限りです。
たまに、自分の文章を読み返すと誤字脱字だらけです。
ああ、恥ずかしい。
鯉三さんのような丁寧で解りやすい文章を目指しているのですが・・・

>>MY FOOLISH HEARTといえば、やはりエバンス!
まさしく僕も同感です!

しかし、このアルバムのMY FOOLISH HEARTも素晴しい演奏ですよ。
最近、キースのスタンダーズトリオはビルエバンストリオも凌いでいるのでは?とか感じてしまう事があります。
by 蟹道楽 (2007-12-13 00:37) 

ぐれなでぃん

蟹道楽さんの文章力は父上様ゆずりだったのですね!納得!!
いいな、いいな。私もそういうDNA欲しかったです(泣)
去年もJ・レノンの記事を読ませて戴きましたが、1年って早いですね(汗)
獄中のチャップマンが妙なこと言ってますね。。。
by ぐれなでぃん (2007-12-13 19:03) 

うちも論文が大の苦手です。。
小学校・中学校で書く作文なんて代筆してもらってました。
さすがに卒論はそういう訳には行かないので、マニュアル本を購入して
文法にあったやり方で苦心して書きました。
おそらく最近の学生はこのマニュアル本を元に作成しているんじゃないかな。あれだとフランクな文章も分かりづらいつまらない文章になりますし。
でも、さすが蟹道楽さん!お父様は大学教授ですか★
でも家はさぞかし厳しかったことでしょう(^^;
by (2007-12-14 08:49) 

蟹道楽

ぐれなでぃん さん
残念ながら言語的なDNAは全く受け継いでおりません。
何といっても国語の成績は5段階評価の2がほとんどでした。
予備校の偏差値なんかひどいもので、なるべく国語の配点が少ない学校ばかり受験しました。
by 蟹道楽 (2007-12-17 00:23) 

蟹道楽

湘南134さん
代筆とは・・・・・?
湘南さんのブログを読ませて頂く限り文章を書くのが好きな方だと感じておりますが・・・
いつも、”ツボをおさえた”みごとな文章は楽しみに読ませて頂いております。
ちなみに僕は法学部だったので卒論がありませんでした。
(というより、卒論の無いゼミを選びました)
親父は自分の息子の教育には全く関心がなかったのか、成績の事を言われたことはなかったですね。
但し、大学で留年しそうになった時は「留年したら自分の全て自分の金で賄えろ!」と言われてビビリました(笑)
by 蟹道楽 (2007-12-17 00:29) 

蟹道楽

(。・_・。)2kさん
まいど、ありがとうございます!
by 蟹道楽 (2007-12-17 00:51) 

ご無沙汰してすみません・・・
日に日にデカくなる腹に圧迫された胃、そして寒さに負けて
まだ調子を取り戻せません。(汗)

お父様のお言葉、尤もだと思います。
そういう方が自分の先生だったなら・・・

JAZZは難解な音楽ではない、に一票です。
父がJAZZ好きだったので、幼い頃から慣れ親しんできたからかな?
とも思いますが、自分には非常に身近で聴き易い音楽です。
by (2007-12-18 19:06) 

2ndLT

今年一年本当にありがとうございました。
来年も蟹さんらしい記事を楽しみにしてます。
by 2ndLT (2007-12-30 10:07) 

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