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今年も行ってきました [歌舞伎]

少々前の事になるが、今年もこんぴら歌舞伎観劇のために琴平を訪れた。

こんぴら歌舞伎.JPG

こんぴら歌舞伎1.JPG

昨年は市川海老蔵、そして今年は中村勘三郎と人気役者が続くこんぴら歌舞伎。

今年はラッキーにも「第一部」「第二部」共にチケットを入手できた。

僕は観たことがないのだが、最近中村勘三郎は「コクーン歌舞伎」(古典歌舞伎の演目
を近代的な表現方法で演じる)が話題になっている。(具体的には麻さんの記事を!

この度の「闇梅百物語」(傘オバケやノッペラボウ等の妖怪が登場する)という演目は
踊っているガイコツに蛍光色の様なブルーのライトを照らすという、コクーン歌舞伎を
連想させる、今までこんぴら歌舞伎では観た事がない様な演出もあった。

しかし、何を言っても今回の一番の見所は『俊寛』であった。

ストーリーは鬼界ヶ島に島流しになっていた俊寛、成経、康頼の3人に赦免船が到着
したのだが成経の嫁(千鳥)は乗船が許されない。
最終的に俊寛は自分の代わりに千鳥を船に乗せて一人が鬼界ヶ島に残るという話。

クライマックスでは仲間を乗せた赦免船を一人見送る俊寛の空しさや孤独感を勘三郎
が悲痛な表情で演じる。
そして最後に勘三郎は悟りの境地に達したような静かな表情で幕が閉じるのである。

正直、歌舞伎を観て目頭が熱くなったのは初めてである。


また、最後にサービス精神の旺盛な中村勘三郎は、歌舞伎では珍しくカーテンコール
をやったのである。

もちろん会場はスタンディングオベーションで盛り上がったのだった。

今年は「第一部」と「第二部」共に観る事が出来た為、今まで以上にこんぴら歌舞伎を
堪能することができた。

 

※中村勘三郎の奥様らしき人を発見!(会場の外にある中村家受付にて)

奥様.JPG

 

 

さて、この度の琴平の旅にはもう一つの目的があった。
それは金比羅宮の奥社に参拝することなのだ。

金比羅宮といえば、本殿までの785段の長い階段が有名である。
一般的には参拝はこの本殿で終了する人が多い。

しかし金比羅山にはこの本殿より583段先に奥社があるのである。

こんぴらMAP.gif

今年は奥社へ参拝するという目的があったのだ。

当日、琴平に着いたのが12時30分。

その日のこんぴら歌舞伎の開場は15時。

奥社への参拝時間は2時間がリミットである。

あらかじめ、ネットで奥社までの所要時間を調べたらまちまちなのである。

当たり前のことだが個人の体力の差によって全く所要時間は異なり、行きが50分という
人もいれば、のんびり2時間かかったという人もいる。

ちなみに特殊な例では年に一度、こんぴら石段マラソン(奥社までの往復)というイベント
があり優勝者のタイムは30分を切るらしい。

 

とりあえず、宿泊先の旅館に到着。

宿1.JPG


中庭が広い。

宿2.JPG

別荘タイプの部屋もあるがやはり料金が高い。

宿3.JPG


旅館の裏門から山道を通って金丸座まで行けるのだ。

裏玄関.JPG


この山道が実に気持ちいい。 

やまみち.JPG 

 

一応、宿泊先の旅館のフロントのおばはんに奥社までの所要時間を聞いてみた。

蟹道楽 : 「参拝はどの位の時間がかかります?」

おばはん: 「そうですね、本宮参拝は約1時間半ですね。」

蟹道楽 : 「奥社まで行きたいのですが?」

おばはん: 「えっ、奥社までいくのですか?たいへんですよ!」
       「まあ・・・(僕をシゲシゲ見ながら)、2時間半くらいですね~」

何だか、カチンと来てしまった。
       
おばはんは丁寧に応対していたが、口元が笑っていたのを僕は見逃さなかったのだ。
いかにも「あんたやったら、2時間半以上かかるデ~!」と言われた様に感じたのだ。

確かに僕は40代半ばでメタボに関してはイエローカードである。

しかし、ここ数年は少なからずとも定期的にスポーツジムに通っている。

「絶対に1時間30分以内で奥社参拝を実行!」

という固い決心で出発したのだった。

 

参道口から大門までの階段はお土産物や飲食店が立ち並びぶ金毘羅門前町を見ながら
階段登るせいか、急な階段も苦にならない。

参道口.JPG

しかし、この日は暑い日だった。

365段目の大門に着く頃には上着を脱ぎ、シャツも腕まくりをしていた。

それでも額から汗がひたたり落ちてくる。

この辺りから徐々にダウンする人の姿も目に付くようになってきた。

 


疲れて座り込む人の図。

疲れた.JPG

ここにも精根尽き果てて『真っ白な灰になった人』が・・・

じょ~.jpg

いやいや、これは参道にあるアンティークショップ売り物!
しかし何で金毘羅門前町にこんなお店があるのだろうか?
それにしても、このジョーが¥58,000とは!!!


また暴挙としか言えないが、ヒールの高いサンダル履きで参拝するおねえちゃん
がいたのだが、悲鳴上げながら涙目になっていた。(ナメとるとしかいえない)。

 

無事、本殿に到着!

本宮.JPG

お決まりの「幸せの黄色いお守り」を購入する。(本殿まで登らないと購入できない)

お守.JPG

 

そして、ここからが奥社への入口である。

奥社へ.JPG


奥社への道にはいると雰囲気が一転した。
本殿までの人で賑わった階段とは違ってほとんど人影はない。

奥社1.JPG


気温は下がり、まるでハイキングに来たかのような山道になるのである。
そのため、先ほどまでの暑さを感じることなく結構快適に登ることが出来るのだ。
しかし、僕は時間が気になり早足で階段を上がって来た為さすがに足にダルさを感じ
始めていた。

奥社2.JPG

奥社までの道には、ほとんど人がいない。

奥社3.JPG 

たまに奥社から降りてくる人とすれ違えば「お疲れさま!」とか「もう少しですよ!」
と声を掛けてくれ、これが実に気持ちいいのである。
「奥社に行く」という共通の目的を共有しているせいか、奥社から降りてくる人達とは
フレンドリーな気持ちになり笑顔で挨拶ができるのだ。


そして、やっと奥社に到着。

奥社4.JPG

合計1368段、標高421m。
やはり達成感に浸ってしまった。

奥社6.JPG

奥社周辺はひんやりとしていて、空気がピーンと張っていた。

改装中の奥社は小さかったが、やはり神々しさを感じる。

奥社5.JPG

 

奥社左の壁面にある2つの天狗の面。
左が鳥天狗、右が天狗だそうだ。

天狗.JPG

階段を登り始めて奥社までの所要時間は35分。

 

帰りは景色を楽しみながらのんびりと下りたのだが、本殿まで戻ると旅行会社の旗を
持ったガイドの大声、そして多くの観光客でごった返してた光景が妙に俗っぽく感じて
しまった。

のんびり帰った為、帰りの所要時間も35分。

結局、奥社参拝の所要時間は1時間10分だった。

僕もまだまだ若いやんか!!! (と、自分に言いきかせる!)

 

翌日の朝、フロントに昨日のおばはんがいた。

おばはん: 「おはようございます。参拝はいかがでしたか?」

蟹道楽 : 「奥社はやっぱり良かったです!」

おばはん: 「へぇ~、結局行かれたのですね。大変だったでしょう?」

蟹道楽 : 「結構快適でしたよ!往復1時間10分でした!」

おばはん: 「えぇっ?1時間10分???」


フロントのおばはんの驚いた表情を見て僕は再度達成感に浸ったのであった。

 

 

左が本宮で買った『幸福の黄色いお守り』、右が奥社で買った『お守り』

お守り.JPG 

 

 

参考までにこの度、食べたうどん屋。

長田IN香の香

長田 香の香.jpg

長田in香の香.jpg


釜揚げうどんで有名なお店である。
しなやかなでコシの強いうどんはさすが釜揚げ最強店である。
しかし、それ以上に感じたのがダシつゆ!
このつゆだけでも十分にご飯が食べれるだろう。

 


岸井

岸井うどん.jpg 

会社の同僚に薦められていったのだが最近、人気が出てきているお店とか。
何とビニールハウスのお店である。
そして店内は実に怪しい雰囲気なのだ。

店内メニュー.JPG

まさにビニールハウスの店内、小学生の落書きのようなメニュー。

同僚が強く推薦した、かけうどんを注文。

きしいうどん.jpg


何と!これは美味い。
ほとんど醤油の色は着いていないつゆだが、十分にダシが利いてしっかりとした味なの
である。
あまりの美味さにつゆも全部飲み干してしまったのだ。

ただし衛生面に神経質な人では・・・・・
いや、讃岐うどんのディープな一面を感じるお店だった。


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コメント 24

ベアトラック

今年は、ビール樽落下オバハンやトイレが近いお年寄りに邪魔されずに、じっくりと歌舞伎を堪能できましたか?
良いエクササイズ・・・じゃなくて、参拝も出来て良かったですね。
by ベアトラック (2009-05-17 10:23) 

しゃおたお

私の記事だとどんな雰囲気なのかよく分かりませんね~
今年のコクーンは現代的なのでとるのをやめてしまったんですけど・・・。

『俊寛』は最高です!ラストシーンで勘三郎さんは瞬きをしてないそうですよね!もう涙なくしては見られないシーンです。
蟹道楽さんの記事を読むたびに、こんぴら歌舞伎が見たくて見たくて!
(この記事でもう興奮しておりますが・・・)
そう言えば今年は年配の女性は降ってこなかったのですね。

参拝への道のりが「自分との戦い&おばさんとの戦い」のようで
楽しかったです~

by しゃおたお (2009-05-17 11:05) 

かおり

蟹道楽さんに火をつけるとふだん以上のパワーが出るのかな?(笑)
それにしてもご苦労さんでした(・∇・)ノ
歌舞伎のほうは堪能されましたか?
by かおり (2009-05-17 11:12) 

たいへー

予想時間を大幅に更新したその意地に、
nise!を送りましょう。
今度は伊勢神宮の奥に行って下さい^^;
by たいへー (2009-05-17 17:51) 

蟹道楽

ベアトラック さん
おかげさまで今年は全く問題なく歌舞伎を堪能できました。
まさしくあの階段はエクササイズでしたね。
by 蟹道楽 (2009-05-17 22:51) 

蟹道楽

しゃおたお さん
椎名林檎さんが音楽担当・・・という麻さんの記事!
歌舞伎でこれってすごく斬新というか、実験的なことがわかると思いますよ!
『俊寛』のラストシーンはやっぱ泣けましたね~
先日、NHKBSで松本幸四郎の『俊寛』を放送していましたが、(まあ実物とTVでの違いはあるでしょうが)僕としてはやはり中村勘三郎の『俊寛』のほうが泣けましたね。
こんぴら歌舞伎の頃ってやはり麻さんは決算で一番多忙な時でしょうか?
ぜひとも何とか、観に行ってください。
こんぴら歌舞伎は役者と観客との近い距離感が最高ですよ!



by 蟹道楽 (2009-05-17 23:02) 

蟹道楽

かおりさん
この度は一部二部ともに観劇出来ましたし、何の問題もなく?歌舞伎に集中出来ました。
いや~いい歌舞伎観劇でしたね。
>>ふだん以上のパワー
ははは、これが実力でしょう~!!!!!
・・・・・調子乗っていると、転びますのでこの程度にしておきます。
by 蟹道楽 (2009-05-17 23:07) 

蟹道楽

siroyagiさん
ありがとうございます。

by 蟹道楽 (2009-05-17 23:08) 

蟹道楽

xml_xsl さん
ありがとうございます。
by 蟹道楽 (2009-05-17 23:08) 

蟹道楽

たいへーさん
ありがとうございます。
意地のありましたが、歌舞伎の時間に遅れてはいけないので少々あせって参拝しました。
伊勢神宮の奥ってやはり、参拝に根性がいるのでしょうか?
by 蟹道楽 (2009-05-17 23:12) 

鯉三

恒例のこんぴら歌舞伎。
毎年この記事を読むと、蟹道楽さんという人の心の琴線に触れる感じがします。

わたしも歌舞伎で涙したことがあります。玉三郎と猿之助という夢のような競演ながら、二人が老夫婦を演じる語り中心のものでとても地味な演目でした。しかし間のとり方が絶妙で、それにほろっとさせられた時は、やっぱり自分は日本人なのだなあと、しみじみ思ったものです。

四国のうどんはシンプルで、本当のうどんのうまさを体感できそうですね。これだけを目的に四国を旅したくなります。
by 鯉三 (2009-05-18 00:13) 

さみー

まだやってんの?これ
by さみー (2009-05-18 02:45) 

neko

こんぴら歌舞伎、いいですねえ
歌舞伎座や大劇場でやるのとはきっと魂の距離感が違うでしょうね。
本宮参拝…そのフロントの人、
自分は登ったことなくてすごい距離と勾配を想定してたんですよ
きっと立て立つんだジョー!ってなると思ったとか〜
そしてそれに『1時間10分で行って来た!』と
しっかり報復、…じゃなかった、報告する所が
蟹道楽さんお茶目というか〜!ヾ(⌒▽⌒;)ノ彡☆ばんばん!
by neko (2009-05-20 13:29) 

薔薇少女

歌舞伎って、一度も見た事無いですが、
蟹道楽さんの熱い思いが伝わってきます!
金比羅さんの奥の院への参拝の件りも
うどんの記事も、とても、興味深く拝見しました!
>奥社左の壁面にある2つの天狗の面。
左が鳥天狗、右が天狗だそうだ。
珍しい物を拝見させて頂きました、有難うございます!

去年、定年一人旅で、金比羅へ行った主人に
この記事の事、話そうと思います。
普段殆ど会話の無い夫婦の切っ掛けになれば、良いんだけど・・・?
by 薔薇少女 (2009-05-20 21:20) 

koto

腰痛も治ってやっと長文が読めるようになりました。
フロントのおばはんはオネエサンじゃなくて・・?
読み進んで、ああ、そういう<おばはん>ね~
ビニールハウスのうどん屋は、私はちょっと・・・
by koto (2009-05-23 01:38) 

蟹道楽

鯉三 さん
歌舞伎の凄いところは、鯉三さんのおっしゃる通り”間の取り方”なのでしょうね。この度の『俊寛』は歌舞伎の中でも派手?(メリハリのはっきりした)内容ですが、日常のワンシーンを演じるたわいも無い地味な内容の演目が多いような気がします。しかし、伝統的な芸術作品として残ってきた一つの要因はまさしく”間”なのではないでしょうか。
全く飾ることの無い讃岐うどんの店は『うまいかマズいか』それだけの評価基準で存在しています。
うどんツアーはぜひお勧めします。
by 蟹道楽 (2009-05-23 11:49) 

蟹道楽

ab-ovoさん
ありがとうございます。
by 蟹道楽 (2009-05-23 11:50) 

蟹道楽

nexus_6さん
ありがとうございます。
by 蟹道楽 (2009-05-23 11:51) 

蟹道楽

さみーさん
応援のコメントを頂き、ありがとうございます。

by 蟹道楽 (2009-05-23 11:53) 

蟹道楽

neko さん
おっしゃる通り、こんぴら歌舞伎は松竹座や南座とかに比べて全く距離感が違います。一番後ろの席でも役者の呼吸を感じられるほどです。
ただ、なにぶん日本最古の芝居小屋のため、柱が邪魔で見にくい席もあります。
しかしそれも”味”として感じられます。
こんぴらさんは、一般的に心臓破りの階段と言われることもありますが、お年寄りの方々も登ってる程度です。(若者のほうが根性が無いようです)
控え目な僕は一応フロントのおばはんに、”さりげなく”報復、…じゃなかった、報告しておきました。
by 蟹道楽 (2009-05-23 12:17) 

蟹道楽

薔薇少女さん
僕は歌舞伎に関しては全くの初心者です。
観始めたのはここ数年前位からです。
しかし、やはり日本の伝統芸能である歌舞伎や狂言は初心者ながらにも
素晴らしさを十分に感じることが出来ます。
ぜひ、ダンナ様とご一緒に観劇してみて下さい。

鳥天狗と天狗の面は危うく見落とすところでした。
話には聞いていたのですが、忘れていて奥社から20段位降りたところで”ハッ!”と気がつきまた奥社まで戻りました。
by 蟹道楽 (2009-05-23 12:25) 

蟹道楽

kotoさん
腰痛だったとは!たいへんでしたね。
ご回復されたようで良かったです。
ご自愛くださいませ。
フロントの女性まさにおばはんでした。
ビニールハウスのうどんや・・・
女性の方々はやはり抵抗があるかもしれませんね。
ただ、めっちゃ美味かったですよ!

by 蟹道楽 (2009-05-23 12:34) 

Qoo

ご無沙汰です
歌舞伎ですか、興味はあるんですけど見たこと無いんですよ
奥社までの道のりは長いんですね
ジョーの様に灰にならないで帰ってこられて何よりです(^^)
ここも興味あるな~ 是非行ってみたい
けど遠いな~
by Qoo (2009-05-28 09:53) 

蟹道楽

Qoo さん
ありがとうございます。
僕も歌舞伎に興味を持ったのは最近です。
もっと敷居の高いものかと思っていましたが、いわゆる昔の大衆演芸が長い時間を経て伝わって来たものではないでしょうか。
ぜひとも観劇してみてください。
奥社はやはり遠かったですよ。
by 蟹道楽 (2009-06-01 01:12) 

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