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MY FOOLISH HEART [JAZZ]

中高生の頃、国語の授業が嫌いで成績が悪かった。

言い訳をすると国語の授業に興味が持てなかったのだ。

教科書で使われる文章は面白くなく、疲れるものだった。
文章のほとんどは小難しく、ひねったものばかりだった。

その”面白くない文章”で授業やテストが行われる訳なのだ。
本気で読む気が起こらないし、設問は答えられない。
そのため授業も嫌いになり、テストの点数も最悪になってしまう。

全くの悪循環である。

まあ、自分の読解力や文章力の無さは十分に承知していたのだが・・・


中学、高校時代に国語の教師によく言われたことがあった・・・・・・


「蟹道楽、キミのおやじは何の先生だ?」


僕の親父は国文学を教えていた。
おかげで国語の教師達から、よく嫌味を言われたものだった。


ある日、親父が大学生達の論文を読みながら言ったことがある。

「最近の大学生はみんな”難しい文章”を書くので読むのに苦労する。」
「難解な文章を書くことで、高尚な文章を書いていると勘違いしているのか?」
「簡単でみんなに解りやすい文章を書くことが一番重要なのだ。」
「優れた文学は皆、解り易く読みやすい。ただしプラスアルファがあるのだ。」

そしてその時、親父が話した一番印象に残っていることは・・・

「人に読んでもらいたい文章や何かを伝えたい文章を書くのなら、中学生が
読んでもすんなり解る文章でないと伝わらないし、人は読んでくれない。」

「シンプルで誰にでも解りやすい文章を書くのは難しいものなのだ。」

 

 

マイ・フーリッシュ・ハート

マイ・フーリッシュ・ハート

  • アーティスト: キース・ジャレット・トリオ
  • 出版社/メーカー: UNIVERSAL CLASSICS(P)(M)
  • 発売日: 2007/10/03
  • メディア: CD


キースジャレットトリオの新譜が発売された。
この度は2001年モントゥルージャズフェスティバルでのライブアルバムである。

最初に聴いた特は”何だかピン”と来なかった。

正直、キースにしては”物足りない感じ”をうけたのである。

最近のキースジャレットトリオのアルバムで感じていた事だが、80年代の頃に比べて
”軽量化されてきた”のは感じていた。

80年代のキースジャレットトリオのほうが重圧感があったように感じている。

この度発表されたライブ盤はこの”軽さ”が顕著に現れているように感じた。

はっきり言うと”解りやす過ぎる”と感じたのである。

「JAZZは難しい音楽だ、良く解らない!」と言われることがある。

その度に「そんな事は無い!もっと気軽に聴いたらいいのだ!」という事をよく言っていた。

しかし、知らず知らずの内にJAZZを高いレベルの音楽として聴いていたのではないか?

この度のキースジャレットトリオの新譜を聴き込む内にそう思うようになってきた。

この新譜は今までのキースジャレットトリオのアルバムの中で一番スイングしている。

JAZZ本来の”楽しみ”であるスイング感あふれるアルバムなのだ。

また、アドリブも今まで以上にメロディアスで聴きやすくなっている。

このアルバムは実にシンプル?で解り易い(楽しい)アルバムなのだ。

他のアルバムよりキース得意の美しいバラードが少ないのが残念に思うが
聴けば聴くほど天才キースの感性が伝わってくるアルバムだった。


「芸術作品で解りやすく心に伝わってくる作品をつくり出すことは難しい」


このアルバムはJAZZを初めて聴く人も”あまり抵抗なく”聴けるアルバムだと思う。

 

 

 

 


今日は12月8日

 

     

   

  
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今年の備前焼祭 [JAZZ]

10月第三週目の土曜日。

毎年恒例の備前焼祭に行ってきた。

備前焼祭は、普段、”敷居が高くて入り難いお店”にも入り易く高級品を
(目の保養として)見る事ができるのである。

この日は各窯元、ギャラリーが定価の2割引で販売する。

この日こそ、高額品を購入するチャンス!

いやいや、僕には残念ながらその様な作品を評価する”目”がないのである。

と、言うかそれ以前の話で僕はそんな高価なモノは買えない。

焼物について”良し悪しがまだ解らない”という事はもちろんの事だが、
僕は毎日使う”道具”としての備前焼が欲しいのである。

そもそも10万や20万の食器なんか、日常は恐ろしくて使えない。

そうは言っても、酒屋さんのおまけのビールカップや贈答品のコーヒーカップ
では無くて自分が気に入ったものでビールやコーヒーを味わいたいのである。

それだけで、普段飲むビールもコーヒーも一段と美味く感じるのだ

備前焼は使えば使うほど色や艶が出てくるという楽しみがある。

買った時とは別もののようになるものも多くある。

毎日使っていく内に変化していく色つやを想像しながら選ぶのがたいへんに楽しい。


ということで今回も特価品コーナーで”物色”を楽しんできました。

 

 

今年は何故か備前焼の”招き猫”が多く見られた。

 

こういう備前焼製のペンダント類やフォトスタンドも面白い。

  


さすがに備前!トイレの洗面台も備前焼! (これは家に設置したい)

 


 

やはり、リーズナブルな値段の物の中から選ぶのは楽しいものである。

 

 

 

物色という点で、これは中古レコード屋でも同じ事なのだ。

ディスプレーされた、○万円するようなオリジナル盤を憧れの眼差しで見つつも、
目的は”新入荷”と書かれたダンボール箱の中から掘り出し物を見つけるのだ。

特価品のダンボール箱の中から長年探してきたレコードや”おっ!これは!!!”
と思うようなレコードに出会った時の喜びは”敷居の高いオリジナル盤”等を
購入するのとは違った喜びがあるのだ。


最近、中古レコードの特価品で見つけた嬉しかった買物!

SCOTT LAFARO / The Legendary

天才スコットラファロである。
このアルバムはパットモランのリーダーアルバムとして「This Is Pat Moran」
というタイトルでCDも発売されている。(4曲多い)

しかしスコットラファロのリーダー作としてこのジャケットを見ながらレコードで聴くというのが気持いいのである。

 

 

 

今年の備前焼祭は、特価品の中から”ビールカップ”2個、”コーヒーカップ”3個、
”ぐい飲み”1個を購入した。

さて、一年後にはどのような色つやが出ているか楽しみである。

 

 

”目の保養”の最中、ある”ぐい飲み”に魅かれてしまった。
一般的な備前焼としては決して高価なものではないが、僕としては高価な”ぐい飲み”。
欲しいが「ちょっと高いな・・」と思ってお店を出たのだが・・・・・
思い出してしまうのである。

帰り際、もう一度そのお店に立ち寄った。

その”ぐい飲み”は僕に「連れて帰って!!!」と叫んでいるのだ。

そして、連れて帰ってしまった。

 

 

 

 

 


帰りに見つけた備前焼の可愛らしいお地蔵さん。

「また、来年会いましょう!」


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さよなら Weather Report [JAZZ]

1984年ウェザーリポートの東京公演でのこと。
 
アンコールも終わって最後の挨拶の為、メンバーがステージ最前列に並んだ。
興奮した観客の多くがステージに群がりメンバーに握手を求めていた。
 
ほとんどの観客は主要メンバーのウェインショーターに群がっていた。
しかし、もう一人のヘッドであるジョーザビヌルの周りにはほとんど人がいなかった。
 
2階席で観ていた僕は・・・
 
「こぉら~、ジョーザビヌルとも握手したらんかい!かわいそうやろ!」
 
・・・と心の中で叫んでいたのだ。
 

実は・・・僕もウェインショーターと握手したかった・・・・・
 

以前にも書いたが、僕がジャズを聴き始めたきっかけはキースジャレットとウェザーリポートだった。
 
ウェザーリポートは70~80年代に革新的なジャズを作り出したジャズコンボ。
エレクトリックジャズは年数が経てば古臭く感じるのだが、ウェザーリポートはそれを感じさせない。
ウェザーリポートは宇宙的な広がりを持ち緻密で複雑な構成の曲を完璧なテクニックで演奏する。
特にキーボード奏者のジョーザビヌルはウィーン出身らしい牧歌的で美しいバラードをバランスよく
アルバムに配置しているのが”泣ける”のである。


ウェザーリポートといえば、ジャコパストリアスを連想する人も多いだろう。
確かにウェザーリポートはジャコパストリアスが在籍していた時が最盛期だった。
しかし、ジャコはウェザーリポートの歴史の中で”絶品のスパイス”だったにすぎない。
 
ウェザーリポートはジョーザビヌルとウェンショーターが主役だった、というかこの二人がいれば
ウェザーリポートは成立していたのだ。
 
86年に”THIS IS THIS”というアルバムを最後に解散してしまった。
解散した時、僕はあまりショックを受けなかった。
「ジョーザビヌルとウェインショーターがいる限りウェザーリポートは存在する」と思っていた。
この二十年、いつも頭の片隅にウェザーリポートの再結成を期待していたのだが・・・
 


9月11日にジョーザビヌルが亡くなった。享年75歳
 


心の底では解っていたのだ。
 
ウェインショーターはウェザーリポートの両巨頭と言われようが人気サックス奏者と言われようが、
ウェザーリポートの基礎を作っていたのはジョーザビヌルだった。
 
最後のアルバム”THIS IS THIS”はウェインショーターはほとんど参加をしていなかった。
また代わりにサンタナがゲストで参加していたので発売当初はほとんど聴かなかった。
 
最近、”THIS IS THIS”を聴くと好き嫌いは別にして完全にウェザーリポートの”音”なのだ。

ウェザーリポートは完全に”ジョーザビヌルのバンド”だった。


今まで、ウェザーリポート再結成の噂はいつも絶える事がなかった。


僕も 「その内にウェザーリポートは再結成するだろう!」 と勝手に思い込んでいた。


しかし、ジョーザビヌルの死によって完全にウェザーリポートは消滅してしまった。

 

ウェザーリポートによってジャズ界で名声を得たジョーザビヌル。
 

 


ジョーザビヌルはウェザーリポートという一番の宝物を持ってあの世にいってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

Night Passage

Night Passage

  • アーティスト: Weather Report
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD


阪急32番街の30階のレコード屋で購入。
はじめてウェザーリポートのアルバムを買ったアルバム。
"DREAM CLOCK" "THREE VIEWS OF ASECRET"という素晴しいバラードはグッと胸くる。
初めて買ったアルバムが一番好きなアルバム!というよくあるパターン。

 

 

8:30

8:30

  • アーティスト: ウェザー・リポート
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2001/03/23
  • メディア: CD


銀座ソニービルにあった中古レコード屋”ハンター~♪”で購入。
NIGHT PPASSAGE と同じ位よく聴いた愛聴盤。
"A REMARK YOU MADE" は最高の演奏!
史上最強のライブアルバム。

 

 

Procession

Procession

  • アーティスト: Weather Report
  • 出版社/メーカー: Sony Jazz
  • 発売日: 1998/03/23
  • メディア: CD


LPコーナー大阪で購入。
ジャコが抜けてしまった。
最初に聴いた時は”ピン”と来なかったがじわりじわりと良さが解った。
スリリングな "TWO LINES" は来日公演で圧倒的な演奏だった!

 

 

Domino Theory

Domino Theory

  • アーティスト: Weather Report
  • 出版社/メーカー: CBS
  • 発売日: 1984/02/01
  • メディア: CD
 
白金台の大学生協で購入。
我が母校は音楽好きが多かったせいか、生協のレコード売場にウェザーのアルバムや
ロキシーミュージックのアルバムが平然と売られていた。
"D♭ WALTZ" はとことん聴きこんだ。

 

 

 

’81

’81

  • アーティスト: ウェザー・リポート
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1997/03/31
  • メディア: CD

 

タワーレコード渋谷で購入。
とにかく大迫力のA面は”これぞウェザーリポート!”という圧倒的な演奏。
B面の"SPEECHLESS" は涙が出るほど美しい曲!ジャコのベースがメロディーを奏でる。
ジャコが参加した最後のアルバム。

 

 

 

Heavy Weather

Heavy Weather

  • アーティスト: Weather Report
  • 出版社/メーカー: Sony Jazz
  • 発売日: 1997/09/23
  • メディア: CD


ディスクユニオン渋谷店で購入。
一般的にウェザーリポートの最高傑作といわれているが・・・
僕の評価は正直あまり高くない。
名曲、"BIRDLAND" "A REMARK YOU MADE" "TEEN TOWN" が収録されているのだが・・・
ライブで演奏した ライブ盤”8:30”のほうが、これらの名曲を魅力的に演奏しているのだ!

 

 

この頃のレコードはよほど思い入れが強いのか・・・・・
購入したお店をしっかりと憶えている。

 

 



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ピアノは打楽器・・・ [JAZZ]

僕の姉は子供の頃、ピアノ教室に通っていた。
年に一度、この教室の発表会があり僕もよく見に行った記憶がある。
 
ある時、姉の友人の演奏を見た。
この人はしっかりした人で僕達にとっては怖いお姉さんだった。
多くの子供達は緊張の面持ちでステージに上がるのだが、怖いお姉さんは
全く動じる事も無く、堂々とステージに出てきたのだ。

怖いお姉さんの演奏が始まった。
 
彼女の演奏は”ピアノを弾く”というより”ピアノをたたく”ように感じた。

ガンガン、思いっきり鍵盤をシバいていたのだ。

何とも”力強い演奏”だった。
 
「・・・確かにピアノは打楽器やからね~」
ピアノ教室の先生は苦笑いしながら、周りの人と話をしていた。
 
子供の僕はこのときピアノが打楽器だと言う事を知った。
 
日本には”鍵盤をシバく”演奏スタイルの女性ピアニストが存在する。
海外には”力強いタッチ”の女性ピアニストはたくさんいる。

”力強いタッチ”と”鍵盤をシバく”というのとは違うのだ。
 
その代表が大西順子というピアニストだったように感じる。
十数年前、大西順子は一世を風靡したピアニストだった。
 

 

WOW

WOW

  • アーティスト: 大西順子トリオ, 嶋友行, 原大力
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1993/01/20
  • メディア: CD

 

結局、好きになれなかった・・・

 

若い女性のジャズピアニストと言う事もあり当時の人気は凄いものだった。
アルバムは出せば売れると言う状況が何年か続いた。
 
僕もCDを持っているが、どうも最後まで馴染まなかった。
”男勝りの強いタッチ”と言われていたが”鍵盤をシバく”演奏に感じていたのだ。
 
ブルーノート大阪にコンサートも観に行った。
最初は”力強い演奏”に圧倒されたが、途中からまるで”ピアノが悲鳴を上げている”
ような感じがして楽しめなかった。
 
その大西順子も突然にジャズ界から姿を消した。
 
業界の事を良く知っている知り合いから聞いた話では”干された”そうである。
理由は「吉田栄作」と同じだったようだ。
気が強く態度が”LL”だったことは有名だったのだが、”天狗”になっていたらしい。
 
この話を聴いた時「ジャズ界でも芸能界と同じような事があるのか!」と驚いた。
 
大西順子がいなくなり”鍵盤をシバく”演奏スタイルも聴かなくなっていたのだが
最近また、このスタイルを感じさせるピアニストが人気を博している。
 
 
上原ひろみいうピアニストである。
 
アナザー・マインド

アナザー・マインド

  • アーティスト: 上原ひろみ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2003/06/25
  • メディア: CD
この人も馴染めなかった・・・

 

正直、大西順子ほどではないが、”鍵盤をシバく”演奏スタイルに感じてしまう。
但し、彼女の場合は大西順子のような性格とは真反対で明るい子のようだが・・・
 
彼女たちのようなスタイルは”力強く”聴こえてる。
そのため、一瞬「おおっ!」と思わせてくれるのだが、長く聴けないのである。
 
個人的な意見で申し訳ないのだが、ピアノの繊細さを感じられないのだ。

 
さて、先日蟹道楽のアイドルである山中千尋のニューアルバムがでた。


 

アビス

アビス

  • アーティスト: 山中千尋, ヴィセンテ・アーチャー, ケンドリック・スコット
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2007/08/22
  • メディア: CD

 

 
山中千尋は大西順子とは対照的なピアニストである。
 
あくまでも、自分が気持ちよく、楽しくピアノを弾いているように感じる。

その為、山中千尋のピアノは優しく繊細なタッチになっている。 
多分彼女は昔からピアノを弾くのが大好きだったのだろう。
彼女のピアノを弾く表情は本当に優しく楽しそうだ。
僕は山中千尋のCDを聴くときはリラックスして聴く事ができる。

但し、ジャズに刺激や目新しさを求める方には物足りないと感じるかもしれない。
しかし、メロディーを大切にする僕にとっては気持ちよく聴くことができる。
 

「ピアノに立ち向かう大西順子」


「ピアノが友達という山中千尋」

 

・・・・・あくまで、僕の印象である。

 
この度の山中千尋のアルバムを聴いて驚いた。
何と一曲目にキースジャレットのカバーをしているのだ。
キースほどのオリジナリティーが強く完璧な演奏によって完成された曲をカバーするのは
勇気?がいるのではないだろうか。
 
山中千尋はこのキースの曲をあっさりとカバーしてしまった。

彼女は「あっ、この曲いい曲じゃない!弾いてみよっと!」て感じだったのでは・・・

結果として十分に山中千尋の色が出ているカバーとなっている。

天真爛漫にピアノを弾く山中千尋は、実はすごいミュージシャンなのでは・・・・・

しかし、心地良いピアノを弾く山中千尋はあくまでも僕のアイドルなのだ。

 

 


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コテコテのソース派 [JAZZ]

大学時代、学食での出来事。
 
定食の天ぷらにソースをかけようとした瞬間。
 
ああ~っ!!! と友人が声を上げた。
 
 
友人   : 「蟹道楽!それ、ソースだぜ!」
 
蟹道楽  : 「・・・・・・ソースやろ!それが何か?」
 
友人   : 「えっ、お前、天ぷらにソース?それっておかしいよ!」
 
蟹道楽  : 「普通、ソースやろ!お前がおかしんじゃ~!」
 

しかし、周りの友人達はみんな、しょう油をかけると言う!
 

ガ~ン!!!!!
 
最近は天ぷらには天つゆがで食べることが多い。
しかし、当時の学食には天つゆのような”高級調味料”は備えていない。
テーブルの上にはソース、しょう油、コショウが置いてある程度だった。
 
この場合、関東の人は天ぷらには”しょう油”を選ぶのだった!
 
僕の通った学校は7割以上が東京近郊の人達だった。
 
不安になって数少ない関西人(京都出身)に尋ねてみた。
 
京都人 : 
「天ぷらにはソースや!おかしいのは東京人や!」

力強く答えてくれた京都人に僕は目頭が熱くなったのだった!!!
 
僕がもう一つ驚いた事は東京人は”目玉焼きにしょう油をかける”という事。
 
 
そういえば、東日本(東北~関東にかけて)のしょう油の使用量は非常に多い。
学食で、友人達が漬物にジャブジャブしょう油をかけるのがイヤだった。
 
例外もあるがほとんどの場合、僕は油で揚げたものならソースをかける。
 
今でこそ、天ぷらを天つゆで食べるが、子供の時代は家でも天つゆのような
”シャレたもの”は無く、ソースで食べていた。
 

ソース派(西日本)としょう油派(東日本)が分かれるのは滋賀県周辺だと思う。
短期間、名古屋に住んだ事があるが中部地区はしょう油文化だった気がする。
お好み焼き、たこ焼きを代表するように西日本は”ソース派”なのだ!!
 
我が家の食卓は常に手の届くところには”ソース”が君臨している。
 
特に”お好み焼きソース”が大好きなのだ!

 


ヘルメスとんかつソース (HERMES SAUCE)

    

エルメスではありませんよ!ヘルメスです。

このソースは大阪の東住吉にある町工場のハンドメイドソース。
数年くらい前だったか東住吉の友人に頂いて以来、このソースしか使っていない。
もともと、お好み焼き屋さんに卸すための業務用が主だったらしい。
このソースを使いはじめると、”オ○バー”とか”イ○リ”とか”オタ○ク”等
の大量生産されたお好みソースを使えなくなってしまった。
フルーティーで複雑な甘み!”味に深み”があるのだ!

900mlで¥500也!
高いと思うか安いと思うかは人によって違うだろう!
「ソースなんか、スーパーの安売りで¥198くらいで買えるよ!」
と言われればそれまでだが、毎日ガブガブ飲むわけではない。
お好み焼きはもちろん、コロッケ等の揚げ物にかけることによっておいしさが違うのだ。
特に冷凍のタコ焼きでも、このソースのおかげでおいしく食べる事が出来るのだ!

2年ほど前、”どっちの料理ショー”の番組で特選素材としてヘルメスソースが紹介された。
また、一ヶ月位前に日経新聞の土曜日版(プラス1)にも全国の美味いハンドメイドソース
として紹介されていた。

こんなにおいしいソースなのだ!
全国の皆さんに教えてあげたい!と思っていたのだが・・・
年間5万本しか作れないソースなのだ。
有名になってくると手に入り難くなってくる可能性がある。
最近、このことが非常に心配なのだ。

 


さて、梅雨明けも近づいてきた。
夏!といえば蟹道楽はBossa Novaばかり聴いているわけではない。
夏にカレーが美味いようにコテコテのJazzも暑い夏には気持ちいい!
コテコテのソースが好きなようにコテコテのJazzも大好きなのだ。

コテコテのJazzといえばもちろんBlue Note!

Horace Silver / Blowin' Blues Away

Blowin' the Blues Away

Blowin' the Blues Away

  • アーティスト: Horace Silver
  • 出版社/メーカー: Blue Note
  • 発売日: 1999/04/05
  • メディア: CD


ホレスシルバーのアルバムは全て大好きなのだがこのアルバムを一番よく聴く。
2曲目のThe St.Vitus Dance が夏の夜には心地良い!

 


Hank Mobley / Soul Station

Soul Station

Soul Station

  • アーティスト: Hank Mobley
  • 出版社/メーカー: Blue Note
  • 発売日: 2000/10/09
  • メディア: CD

名盤である!
演奏、曲、そしてジャケットと三拍子そろった名盤なのだ!
無人島に持っていくアルバムの一つである!
マイルスマニアから評価の低いハンクモブレー。
マイルスにはハンクモブレーの人間的なサックスは合わないのである。

モブレーをけなすアホなマイルスマニア達に言いたい!

「アホか!モブレーが解らんお前らがアホなんじゃ!」

モブレーのサックスは”ヘルメスソース”のように”深い味”があるのだ!

 


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Keith Jarrett Trio Japan Tour 2007 in Osaka [JAZZ]

Keith Jarrett、Gary Peacock、Jack DeJohnetteの3人がステージに現れてきた。
身震いしそうになるほど気持ちが高揚する。
コンサートの度に感じる至福の瞬間。

キースが最初の一音を聴いた瞬間、目頭が熱くなる。

「僕はやはりこの人が一番好きなんだ!」と今回も感じてしまった。

 

 

 

聴き慣れたフレーズですぐにAutumn Leaves というのがわかる!
「お~!一曲目からAutumn Leaves とは!」
でも、なんだかピアノの音が小さい!
PAがセッティングが悪いのか?と思ったのも束の間!
そんなことを考えさせる余地も無くこのトリオの世界に引き込まれてしまった。

一曲目が終わった時、キースが立ち上がった。
スポットライトが明るさが不満のようだった。
スポットライトを指差し舞台裏に行って注文を付けたようだった。
しかし、なかなかキースの注文どおりにライトが落ちない・・・

こんな事は初めてであり、嫌な予感がした。

不満な表情だったキースが二曲目のI thought about you のイントロを弾き始めた瞬間!

 

「チャチャーラ~チャチャーラ~」

 

ステージ右側、前の方の席からマヌケな携帯電話の着信音が鳴り響いたのである!


キースのピアノを弾く手が止まった!

 

一昨年前、キースの東京公演で「携帯事件」があった。

静まり返った演奏の最中、携帯の着信音が鳴り響き怒ったキースは公演を中断した。

もちろんキースのファンの間では有名な話!

 

大阪フェスティバルの観客全員の背筋が凍った雰囲気が伝わってきた。

2,700人の観客全員が息を止めて成り行きを見つめた・・・

顔を上げたキースは携帯着信音が鳴った方向を見つめていた・・・


そして手を合わせて”Sorry!”と言って苦笑した!


キースの意気な計らいに会場全体は”ホッ”と気持ちが緩んだようだった。

気持ちが緩んだと共に携帯の持ち主に対しての会場全員の気持ちは一つだった。


「殺すぞ!」


正直、この出来事で僕の高ぶった気持ちは冷めてしまった。
しかし、二曲目のI thought about youの演奏を再開した時、イントロのあまりにも美しい旋律に
より再び、このトリオの世界に引き込まれてしまった。

1stステージ4曲目の”I fall in love too easily ”2ndステージ2曲目の”Yesterdays ”は
どこまでがアドリブなのか解らないほどあまりに現実離れした美しさ!

僕は自然に涙が流れてきた。

ピアノトリオと言われる演奏はピアノ、ベース、ドラムの三位一体の演奏である。
3人の自由なインタープレイ(会話)によって成り立っている。

この度のキースジャレットトリオのコンサートで強く感じたことがある。

 

この3人のミュージシャンはフェスティバルホールの2,700人の観客の存在を全く意識
していないのではないだろうか?

 

演奏中はもちろんのこと演奏の合間でも、まるでこの空間にはキース、ゲイリー、ジャック
しか存在しないように3人だけの会話をしているのだ。

普通、コンサートではミュージシャンが観客に向かって訴えかける。
それに応える様に観客もミュージシャンに対してエネルギーを送る。
そしてミュージシャンと観客が一体化してコンサートが盛り上がる!というのが一般的である。

特にROCKのコンサートは、いかに会場を盛り上げるかで”良いコンサート”か”つまらない
コンサート”だったかの判断基準になってしまう。

インプロヴィゼーションが命のジャズのコンサートはROCKほどのエネルギーは無いのだが
ミュージシャン達は観客とのコミュニケーションを大切にしている。

しかし、この度のキースジャレットトリオは挨拶以外の観客とのコミュニケーションを一切
持たないように感じられた。

 

もともとキースは”神経質で難しいミュージシャン”ということをよく言われている。
東京公演での”携帯事件”はその事を証明する出来事のように思われている。
しかし、これはキースが一切の妥協をすることなく完璧なパフォーマンスを提供しようとする
がゆえに起こった行動ではないのだろうか?

 

僕は今回の公演はスタジオのレーコーディングを2,700人で聴いているような感じだった。

しかし決して観客を無視して自分勝手に演奏しているのではない。

 

3人の息もつかせぬインタープレイを可能にする為にはギリギリのところまで神経を集中し
一切の雑念が入らないのように演奏以外の世界をシャットアウトする必要があったのでは
ないだろうか。

 

このトリオはコンサートを聴きに来た観客に対して一切のごまかしも無く完璧な演奏を提供する。

この事こそキースのファンが一番求めている事である。
3人の天才達はファンの期待に100%応えて、今回も奇跡のパフォーマンスを披露してくれた。

またコンサートの出だしで”いまわしい携帯事件”があったにも関わらずこの事件を忘れさせて
くれるほど、この夜のトリオの演奏は感動的だった。

 


僕が初めてキースジャレットのコンサートを体験したのは大学生の時。
場所は新宿厚生年金会館だった。

 

コンサートが終わり会場から夜の新宿の街に出た瞬間、一緒だった”連れ”が言った。

 

「現実に戻っちゃったね・・・」

 

今回、大阪フェスティバルホールでキースを観たのは何度目だろうか・・・

 

キースのコンサートが終わってフェスティバルホールの外に出た時、淀屋橋の夜景を見ながら
いつもこの言葉を思い出してしまう。

 

 

 


5月3日 大阪フェスティバルホール

1st Set
1) Autumn Leaves
2) I thought about you
3) One for Majed
4) I fall in love too easily
5) 2ARDI's '58

2nd Set
1) Green Dolphin Street
2) Yesterdays
3) Billy's Bounce

Encore:
1) You belong to me
2) Poinciana


 


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帰っておいで [JAZZ]

”パリを魅了した江戸の華”

 

浮世絵の展覧会のタイトルなのだが、なかなか洒落たタイトルだ。
 
この展覧会はフランス国立ギメ東洋美術館の浮世絵コレクションの中から、北斎、写楽、歌麿、
広重などの名品約190点を展示している。
これらの有名な浮世絵師の作品を一箇所で観ることができる。

また、浮世絵の名作の多くが海外に渡っているのでこの度の展覧会はめったに観ることの
できない作品を実際に見ることが出来る絶好の機会である。

開催は大阪市立美術館。
大阪市立美術館は天王寺にある。

天王寺は大阪の南に位置し古い街である。
大阪独特の下町風情が残っていて庶民的な街なのだが・・・かなりアクが強い! 
天王寺~新世界、そして大阪の暗部である飛田新地~釜ヶ崎
特に、釜ヶ崎(あいりん地区)が近くにある為、ホームレスの数は半端ではない。

 

以前から何故、大阪市立美術館が天王寺にあるのだろうか?と感じていた。
天王寺周辺は何とも、美術館とは縁遠いイメージ・・・・・
それも、なぜ天王寺公園の中???に・・・・・

最近は天王寺公園は浮浪者を追い出してキレイになっているようだが、昔の天王寺公園は
なかなか凄いもので特に夜なんか気持ち悪くて歩こうと思わなかった。

その昔、天王寺公園内で浮浪者が野菜を植えているのを見たこともある。
 
いまだに僕の中での天王寺公園は浮浪者の溜まり場という印象しかない。
 

天王寺公園が改装後、初めて天王寺公園に入った。
昔よりかなりきれいになっていた。

良い事か悪い事か?大阪市は天王寺公園の改装の際、浮浪者を追い出した。
現在は公園の外周を浮浪者が入って来れないようにフェンスを張り巡らせている。
 
美術館までの道のりもゆったりと散歩が楽しめる。

 

    大阪市立美術館

 

はじめて実物を観た浮世絵。
何とも艶やかな色彩である。
観れば観るほど、多くの作品が海外に渡ったことが悔やまれる。

   

 

 

浮世絵といえばやはり美人画!
歌麿の作品を見た瞬間!足が止まってしまった。

        

凄い!としか言いようが無い!
この、耳が透けてみえる髪の毛の描写。
まるで、髪の毛を付けているのではないか?と思えるほど立体的なのである。

当たり前の事だが、浮世絵は版画である。
筆で描いたとしてもこのように立体的に画く事が出来るだろうか?
 
歌麿の作品は他の作品より圧倒的な”精度”(と言ってよいのか?)の高さを感じた。

 

この度の展覧会でもう一つの目的!

世界初公開!北斎の「龍虎」100年ぶりに出会う !

     葛飾北斎の「虎図」と「龍図」

 

「虎図」は太田記念美術館所蔵で「龍図」はフランスのギメ東洋美術館所蔵。
表装が同じだったので調べてみたところ、この2つの作品は対として描かれた葛飾北斎
の作であると判明したらしい。
気づかなかったは「九十老人」という落款が理由らしい。
何と葛飾北斎の90歳の頃の作品!

特にこの龍図の凄みのある迫力には圧倒されてしまった。
この龍の眼はぞっとするほどの不気味さを感じる威圧感があった。
 
僕は「虎図」と「龍図」を前に”対”で観ることは二度と無いのだろう!と感慨にふけていた。
 
その時、後ろから「んん~ん・・・」という唸り声が聞こえた。
 
振り向くと50半のおっさんが腕組みして「虎図」と「龍図」を眺めている。
 
おっさんは一言いった。

 
「ネコみたいなトラやな~!」


   

 


感慨にふけていた僕は一気にさめてしまった・・・・・

そして、ここが天王寺であることを思い出した。
 

やはり、天王寺には美術館は似合わない・・・・・

 

 

 

 Keith Jarrett Trio

Standards,Vol. 1 Standards, Vol. 2 Standards, Vol. 1Standards, Vol. 2

                     

 

Keith Jarrett Trio が誕生した記念すべきアルバム。
このVOL1とVOL2は少々地味なスタンダードナンバー集で”対”をなすアルバム。
スタンダードナンバーを驚くほど美しく料理したこの2枚は発売以来の愛聴盤です。

 

追伸
この記事を書いた時、探し物をしていた。
以前、浮世絵の版木を我が家で見た記憶があったからだ。
骨董好きの父が確かに持っていたはず・・・・・
昨日、やっと探し出したので紹介致します。
作者など詳細は全く解りませんが江戸時代のかなり古いものだと思います。
写真では解り難いですが・・・

浮世絵をきれいに刷る回数は限られていたそうです。
限界枚数を刷った版木はそれ以上に刷られないように作者は版木を割ったそうです。
真ん中の割れ目はその割ったあとのようです。
         


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It's time for Tina [JAZZ]

中古レコード屋でLP、CDを漁る時、特に廃盤については” これだ! ” と感じたものは、
予算の許す限り購入するようになってしまった。
 
中古レコード屋で廃盤との出会いは一瞬のタイミング!
もう二度と出会えないかもしれないと思うようになったからだ。
 
  
 
   It's time for Tina / Tina Louise 
 
何と魅力的なジャケットなんだろう!
しかし、これがオリジナル盤のLPジャケットだったら・・・・・
CDのジャケットを見るたびに思ってしまう。
 
僕はこのレアなアルバムを知ったきっかけをよく憶えていないのだが、このLPの中古盤が
マニア間では数万円で売買される記事が印象に残ってる。
 
この「It's time for Tina」のバックはコールマンホーキンス等の大物ジャズミュージシャン
によって演奏されている。
それも手伝い、コアなJAZZファンはこのアルバムを探していたようだ。
 
数万円のLP・・・
この金額を聞いただけでこのアルバムへの希少価値や評価が判断できる。
 

石原裕次郎は、このティナルイスのファンだったらしい。
アルバムの解説ではティナルイスは友人がオーディションを受ける際、一緒について行った。
友人は緊張して歌えなく、代わりに歌ったティナルイスがオーディションに合格したらしい。
 
このアルバムをレコーディングした時、ティナルイスは弱冠19歳。
 
このジャケット、10代ですよ!
 
今の日本の10代(特に高校生)はコンビニの地面に座ってカップ麺をすすっている。
 
えらい違いである・・・・・
 
ティナルイスが残したアルバムはこの一枚のみ。
 
 
その後、女優として活躍し結局、アメリカ南部の大富豪にさらわれてしまったらしい。

 
20年くらい前、この「It's time for Tina」はCDで再発された。
この頃、僕は東京に住んでいて六本木WAVEでこのCDを購入したのを憶えている。
 
幻のアルバムを聴ける喜びとは反面、「ジャケットが小さい、LPで鑑賞したい!」と感じた。
 
アルバムはまさしくジャケットのイメージ通りの音がした。
ゆったりとした、JAZZバンドをバックにしっとり歌うティナルイス。
 
耳元で囁くようなボーカルを聴いていると”とろけそう”になってくる。
また、コールマンホーキンスのやわらかなホーンが心地よい。
このアルバムには刺激的な音は一切入っていない。
 
僕は疲れを感じた時、就寝前にゆったりと聴くアルバムである。
 

10年ほど前の事。
よく行く中古レコード屋の壁に「It's time for Tina」のオリジナルLPがディスプレイされていた。
 
初めてみたLPオリジナル盤の「It's time for Tina」
そのジャケットの魅力は普段CDでみるジャケットとは別世界のものだった。
LPのジャケットはティナルイスの細かい表情まで感じ取れ、CDでは平面的だった体のライン
が浮き出て立体的に感じられた。
 
LPの下に貼ってあったプライスカードには”ASK"と書かれていた。
 
昔から数万円で取引されていたこのLP、いくらだろうか?
”ASK”が重くのしかかって結局値段も聞かず店を出た。
 

その夜、僕は「It's time for Tina」のLPジャケットを手にしてレコードを聴く夢をみた。
 

朝起きて、居ても、たってもいられなくなった。
 
いくらか解らない。しかしあのLPを手にとってみたい!
数万円で売買された頃と違って、CDでも発売されている。
また、DIWから復刻盤のLPも限定で発売された。

オリジナル盤といっても以前より安くなっているのではないだろうか?
 
考えを変えれば「絵画を買ったと思えば安いものである。」
また何といっても、オリジナル盤(MONO)のレコードでティナルイスを聴けるのだ!
 
「とりあえず、いくらなのか値段を聞いてみよう!」
僕の気持ちは完全に購入の方向へ傾いていた。
 
その日、仕事を終えると中古レコード屋に直行した。
 
しかし前日まで「It's time for Tina」があった場所には違うLPが飾られていた。
 
 
ティナルイスはどこかの大富豪にさらわれてしまっていた。
 
 
 
 
 
    
 
 
 
 
 
 
 
  
    
                        

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ジャコがベースを投げた夜 [JAZZ]

”LIVE UNDER THE SKY” というイベントがあった。

主にJazzミュージシャンによる野外コンサートで毎年盛り上がりをみせていた。

その LIVE UNDER THE SKY を一度だけ観に行った事がある。 忘れもしない1984年のギルエバンス オーケストラだった。

 GIL EVANS(KB) GEORGE ADAMS(TS),CHIRIS HUNTER(AS,SS),LEW SOLOFF(TP),MARVIN PETERSON(TP) MILES EVANS(TP),GEORGE LEWIS(TP),PETER LEVIN(SYNTH),HIRAM BULLOCK(G) MARK EGAN(B),ADAM NUSSBAUM(DS)

featuring JACO PASTORIUS(B)

今、改めて見れば凄いメンバーだった。

ただし僕の目当てはギルエバンス ではなく、メンバーのジャコパストリアスだった。

 

ジャコパストリアスを生で観れる!興奮して会場のよみうりランドイーストに行った。

暇な大学生だったので開演の1時間以上前に会場に入った。

野外コンサートといえば缶ビール!

友人と雑談をしながらビール飲んでいた時のことだった。

突然、上半身が裸で全身を泥でペイントしたジャコがステージに現れた。

そして、狂ったようにベースを弾き始めたのである。

突然のことで僕らも驚き興奮し、ビールを一本ダメにしてしまった。

まだ観客が半分も入っていない会場は興奮のルツボとなった。

そしてまだ入場していなかった観客がいっせいに入場門に押しかけパニックとなった。

この時すでに、ジャコの雰囲気はかなり”危ない”感じがあった。

 

3年後、ジャコは乱闘騒ぎで殺された。

 

35歳で亡くなったジャコの実質的な活動期間は75年から84年頃までの約10年程度。

エレクトリックJAZZバンドのウェザーリポートで僕はジャコの存在を知った。

僕がJAZZの世界にのめり込んだきっかけはキースジャレットとウェザーリポートだった。

ウェザーリポートの事を書き始めると、キリが無いのでまたの機会にするがジャコはウェザーリポートの参加によって有名になった。

ジャコがウェザーリポートに参加していた頃、ジャコもウェザーリポートも「黄金期」であった。

 しかし酒とドラッグ、また音楽性の違いもあってかウェザーリポートを脱退した。

 

天才と〇〇は紙一重。

まさしくそのジャコのことである。

「ジャコパストリアスの肖像」というこの本によるとジャコはひどい躁うつ病のようだった。

ジャコ・パストリアスの肖像

ジャコ・パストリアスの肖像

  • 作者: ビル ミルコウスキー
  • 出版社/メーカー: リットーミュージック
  • 発売日: 2003/07
  • メディア: 単行本

天才といわれた日から、数年で路上生活者、そして廃人となってしまった。

ジャコはナイトクラブでリンチをうけて犬死した、というのは有名な話。

この本は残虐なリンチとジャコのその時の悲惨な状況を刻銘に記していた。

正直、読まなければよかった・・・と後悔してしまった。

 

ベースとドラムの質でバンドのレベルが決まる!ということは十分に認識していた。

 しかしジャコのベースを聴くまではベースはアンサンブルの中で脇役のイメージが強かった。

ジャコはベースという地味な楽器を主役に持ち上げた。

ジャコのベースはリズムを刻むだけのベースとは異なり、攻撃的に前に出てくる。

 また、一方で驚くほど美しいメロディーを奏でるのである。

”ベースもピアノやギターのようにメロディーを奏でる楽器なんだ!”と驚いた。

ジャコのベース音は優しく暖かい音色で限りなく広がっていくのようなのだ。

 

スタンリークラーク、マーカスミラー、リチャードボナ等・・・・・現在、JAZZ界には凄腕のエレクトリックベーシストはたくさんいる。

しかし、凄腕ではあるがジャコのような天才ベーシストだとは感じられない。

テクニックは同等としても、この凄腕ベーシスト達の演奏はジャコの”暖かい音色と美しいメロディー” を感じることが少ないのである。

これは、けっして努力して出来るというものではなく、もって生まれた才能なのだろう。

ジャコの革命的なベーススタイルはROCKミュージシャンにもファンが多い。

その為、ジャコが亡くなった後も”未発表曲”とか”発掘盤”とかのCDが数多く発売されてきた。

その殆どが”ジャコ本人が生きていたら発売を許可するの?”というシロモノが多いのである。

特に、亡くなるまでの3~4年間のジャコの精神状態はひどく最盛期とはかけ離れたものもある。

日本は”ジャコ天国”といわれるほどジャコの未発表CDを多く発売されている。

そのため、来日ミュージシャンは血眼になってジャコのCDを大量に買って帰るらしい。

 

”死人にくちなし!” これはジョンレノンについても同様なのだ。

やたらと発掘盤や有名な曲を詰め込んだベスト盤と称するアルバムを乱売している。

 ジョンのベスト盤はアルバムとしてジョンが製作した”SHAVED FISH”だけである。

 他のCDは”ベスト盤”ではなく”ヒット曲盤”なのである。

 

天才と名声を得た後のミュージシャンのプレッシャーは凡人の我々では想像できないものだろう。

試行錯誤の末、お蔵入りする作品の方が多いのではないだろうか?

未発表音源というのは訳があるのだ。

それを”発掘盤”と発売しミュージシャンの努力と名声に泥を塗ることは許されないと思う。

わけの解らない”未発表曲”や”発掘盤”は”その道を極めた”熱狂的なマニアが海賊盤で手に入れるもので、一般人がレコード屋で気軽に手に入るようなことはあってはならないと思うのだが・・・

 

先日、Live In Montreal というジャコのDVDを購入した。

発売はされていたのだが、上記の理由でなんとなく購入をためらっていたDVDなのだ。

このDVDの感想は”特別良くも無く、悪くもなく”といったところか。

しかしジャコが生きていたらこのDVDの発売を許可しただろうか?

淡々と”流す”ようにベースを弾くジャコは全盛期のジャコ独特のパワーが感じられないのである。

 

そもそも僕はコンサートDVDがどうも苦手だ。

 

編集者の嗜好によりカメラワークが決定し、自分の意志とは無関係に演奏のシーンを強制的に 見せられているような気がする。

また、映像に意識が集中して、肝心の音楽に神経が行き届かなくなってしまう。

音楽はただ単に耳で聴いているだけではないのである。

イマジネーションにより自分の中で曲に対する世界を創っているのだと感じる。

映像による音楽鑑賞は完成された情報が直接入ってくる為、イマジネーションが湧いてこないのである。

一度観たら、その後はあまり鑑賞しないことの多いDVD等の映像とは対照的にレコードやCD等の音楽は 反復性があり何度も聴けるのはこういう理由からではないだろうか?

 

この度のDVDを観ながら改めて感じた事がある。

 

下手なDVDなら観なくてもいい!

目を閉じてウェザーリポートのライブ盤”8:30”やジャコの”INVITATION”を聴けばいいのだ。

飛び跳ねながら気持ちよくベースを弾くジャコの姿が目に映るようだ。

 

8:30

8:30

  • アーティスト: Weather Report
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 1994/06/28
  • メディア: CD

 

名盤。Remark You Made は泣けます!
 
 

Invitation

Invitation

  • アーティスト: Jaco Pastorius
  • 出版社/メーカー: Wounded Bird
  • 発売日: 2004/09/21
  • メディア: CD

一曲目のINVITATIONからジャコの世界に「どっぷり」浸かってしまいます。

 
 
 
 
Jaco Pastorius

Jaco Pastorius

  • アーティスト: Jaco Pastorius
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 2000/08/01
  • メディア: CD
ジャコの代表作。1曲目のDonna Lee はいつ聴いても鳥肌もの。 凄腕ベーシストのマーカスミラーも、このレコードをレコードプレーヤーから外せなくなったらしい。

 

 
Word of Mouth

Word of Mouth

  • アーティスト: Jaco Pastorius
  • 出版社/メーカー: Warner Jazz
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD

1曲目のCrisisを聴いた時はぶっ飛んだ。 またウェザーリポートで発表した2曲目の 3 Views of a Secretもウェザーとは違った美しさだ。 5曲目のBlackbird はもちろんビートルズのカバー。こんなに曲が変わるのか!

 

STANDARDS ZONE

STANDARDS ZONE

  • アーティスト: BRIAN MELVIN TRIO FEAT.JACO PASTORIUS
  • 出版社/メーカー: サウンドヒルズレコード
  • 発売日: 2005/03/22
  • メディア: CD

 

 

ジャコの最後のレコーディングといわれるジャコの最初で最後のトリオJAZZ。

エレクトリックベースは4ビートには合わない!と言われていたが、ジャコには当てはまらなかった。 死ぬのが解っていたのか?攻撃的なベースは無く、リラックスしたスタンダード集は美しく悲しい。

 

 

「ジャコもあの世でマイルスやジミヘン等大物ミュージシャンとセッションを楽しんでいるだろう」

ジャコを追悼する記事でよく見かける文章である。

もしそのような世界があったなら・・・

ジャコはベースギターを思いっきり振りかざし、不本意なアルバムをかってに発表して金儲けしているレコード会社 の担当者が来る時を待っているのではないだろか?

 

 

 

それまでのベース演奏のスタイルを根本から覆したジャコのSOLO!

 

 

あの日・・・”LIVE UNDRE THE SKY 84 ”の映像。

アンコールが終わり、最後に空中にベースを投げるジャコが印象的だったのを思いだした。

 

 

 

 


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Misty&Oyster [JAZZ]

牡蠣がピンチだ。
この度のノロウイルス騒動で牡蠣業界がまともに打撃を受けている。
これはノロウイルスの為と思われがちだが、牡蠣を原因にした過剰な報道の為だと思う。

この状況は大阪のカイワレ大根をターゲットにしたO157騒動と同じである。
あの時、カイワレ業者はひん死の状況に陥った。

牡蠣が大好物である僕にとってはスーパーで大安売りされたにもかかわらず
牡蠣の売れ残りの山を見ると悲しくなる。

フライ、土手鍋、酢牡蠣、・・・
殻焼きにしてレモンと醤油を一滴落して食べる!
美味い!いくらでも酒が飲めてしまう!

牡蠣はどの様に調理してもたいへんに美味しい。

食材として牡蠣はホタテとならんで完璧だと思っている。


完璧といえばMistyというたいへんに美しい名曲がある。
僕の好きな曲で確実に5本の指に入るJAZZの曲である。

JAZZの曲・・・

オリジナルが最も完成度の高いROCKやPOPS。
たまに、よく出来たカバーもあるが、オリジナルを超えるカバーをつくることは至難の業!
例えば、ビートルズのカバーでオリジナルのビートルズを超えるものがあっただろうか?
LET IT BEのカバーでオリジナルを超えるものは存在しないと思う。

一方、JAZZの場合は演奏するミュージシャンのその曲の解釈によって色々な”表情””表現”
を楽しむことが出来る。

同じ曲でもミュージシャンの解釈によっては、”素材”の曲が全く別ものになってしまう。
したがって、自分の好きな曲を何種類も楽しめる。
また、お気に入りのミュージシャンが自分の好きな曲をどの様に演奏しているのか?
という楽しみ方が出来るのである。


Mistyは1955年にJAZZピアニストのエロールガーナー(Erroll Garner)によって作曲された。
飛行機でニューヨークからシカゴに向かっていたガーナーは、窓の外の霧がたちこめた景色を見てインスピレーションを受け、瞬間的にこの曲のメロディーが浮かんだという。

Mistyという曲、ほとんどの場合、この曲はミディアムテンポで演奏される。
そして、どのミュージシャンが演奏しても名曲になってしまう。
ミュージシャンを含め、聴き手もこの曲のイメージが完全に出来てしまっているのだろう。
ほんとうに完璧な曲だと思う。

僕はMistyを聴く時、主旋律に入る瞬間に息を止めてしまう。
この時の”間”が一番の聴きところなのだ。

この”間”を思いっきりジラして”しっとり”と演奏して欲しい。
何ともいえない感情が”グッ!”とくるのである。
感性に合うMistyに出会うと”グッ!”と、こみ上げる気持ちで呼吸が出来なくなるのである。


Dick Morgan / At The Showboat

キャノンボールアダレイが発掘し紹介したがマイナーなピアニストである。
僕が知っている限りでDick Morganのアルバムは3枚しかない。
もっと、もっと聴きたいピアニストなのだが・・・
ファンキーでスピード感のあるこのアルバムの3曲目に入っているMistyは何ともしっとりと
演奏されている。

”グッ!”とこみ上げてくる度 4.5点

 

Red Garland / Misty Red  

ミスティ・レッド(紙ジャケット仕様)

ミスティ・レッド(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: レッド・ガーランド
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2004/10/27
  • メディア: CD

シンプルでスィンギーなレッドガーランドは大好きなピアニストだ。
大名盤のGROOVYはもちろんの事、RED IN BLUESVILLE やTHE NEARNESS OF YOUも愛聴盤である。
レッドガーランドは初期のアルバムが人気なのだが、僕は晩年のこのアルバムが大好きだ。
このアルバムのMistyも感情豊かで美しい演奏なのだ。

”グッ!”とこみ上げてくる度 4.5点  

 

Jos Van Beest / Everything For You

 

Mistyはどちらかというと黒人のスィング系ピアニストの演奏が多い。
ここできかれるMistyはちょっと変わった雰囲気がある。
ヨーロッパのJazzらしく独特の繊細なピアノである。
こういう繊細なMistyもいいものである。

”グッ!”とこみ上げてくる度 3点


 

Julie London / Round Midnight

アラウンド・ミッドナイト

アラウンド・ミッドナイト

  • アーティスト: ジュリー・ロンドン, ディック・レイノルズ・オーケストラ
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2006/07/26
  • メディア: CD
さらっと、Mistyを歌い上げている。
初めて聴いた時はあまり印象が無かった。
しかし最近になってこういうのも良いかな!って感じ始めた。
Round Midnightのタイトルらしく、ジャケットはジュリーが足で12時を指している。
このアルバム、何といってもジャケットが良いのである。
”グッ!”とこみ上げてくる度 1.5点
 
 
 
Ella Fitzgerald / The Ella in Berlin
The Ella in Berlin

The Ella in Berlin

  • アーティスト: Ella Fitzgerald
  • 出版社/メーカー: Polygram
  • 発売日: 1993/08/17
  • メディア: CD
Jazzボーカルの大名盤である。
ゆったりとMistyを歌うエラはやはりスケールの大きさを感じてしまう。
僕の大好きなThe Man I Love も収録されている為、よく聴くアルバムである。
”グッ!”とこみ上げてくる度 3.5点
 
 
 
山本 剛 / Misty
日本人のJazzミュージシャンでMistyと言えばこの人。
ライブでは何百回もMistyを演奏しているそうである。
このアルバムのMistyも”間”をしっかりと取っていて泣かせる演奏である。
何年か前、青山のBODY&SOULで山本剛のMistyを生で聴いたのだが、
その時の演奏は、さらっとしていてレコードの方が何倍も好みだった。
”グッ!”とこみ上げてくる度 4点
 
 
 
Kenny Drew / Misty
ケニードリューは興味のあるピアニストではなかったがこの演奏で認識が変わった。
この演奏を初めて聴いた時は危なかった。
息が出来ないほどの緊張感と”グッ!”と来る感情で窒息死しそうになった。
もう、死にそうとしか表現出来ません。
ケニードリューは興味のあるピアニストではなかったがこの演奏で認識が変わった。
”グッ!”とこみ上げてくる度 5点
 

最後に作曲者のErroll Garner
 
Erroll Garner / Original Misty
The Original Misty

The Original Misty

  • アーティスト: Erroll Garner
  • 出版社/メーカー: Mercury
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD
作曲者のエロールガーナーのMisty。
この曲を一番理解しているピアニストのMistyは実にシンプルな演奏である。
ただし、どんなミュージシャンが演奏してもMistyはエロールガーナーの演奏の
イメージなのである。
いかにこの曲が完成度の高い名曲!という事ではないだろうか。
 
”グッ!”とこみ上げてくる度 ・・・点数をつけられません。
 
 
 

本日の夕食は牡蠣のどて鍋だった。
牡蠣は今が旬であり一番おいしい時期なのである。
現在までに牡蠣によるノロウイルスの感染は一件も証明されてないらしい。
マスコミの報道責任という事がもっと言われてもいいのではないだろうか。
僕はこれからも大好きな牡蠣を食べて、色々なミュージシャンのMistyを聴く!
 
至福のときなのである。
 

 

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